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日系企業に就職を控えた大学院生が「起業家のように企業で働く」を読んだ感想

概要・所感
本書は一般に保守的で個人のキャリアをあゆみにくいとされる大企業においても、起業家のようなマインドセットで働くことで独自のキャリアを主体的に築き上げることができるということを説いた本である。大企業においても創造性を発揮し、イキイキと働くビジネスマンや、自身の経験を元に、「起業家マインド」を持つ有効さを紹介している。
昨今大企業に就職するのはナンセンスであり、独立副業起業を促す論調がTwitter界隈でよくみられるが、本書は大企業で働くメリットを示す一方で、旧来の生涯雇用型サラリーマンはもはや通用しないと説いている。
仕事へのスタンスを受け身から前のめりにする重要さを、平易でわかりやすい文章と実例を交えて述べている。

学び
・志を持つ
第一に、自律的に行動することが重要である。やらされ感を無くし、前のめりに行動するためには、自身が求めるもの、ありたい姿を明確にする必要がある。また、大企業の論理が働き、思うようにキャリアを形成できない場面も予想される。その際に、自分の志と企業側のメリットやビジョンの重なりを意識(し、相応の根回しや自分なりの準備を)することで、主体的なキャリアを歩むことができやすくなる。
特に、志のベクトルが「自己承認」ではなく「他者貢献・感謝」にあり、使命感があるほどエネルギーも強く、他者の協力を得られやすい。

・プロフェッショナルの働き方
自分が給与分の働きをしているか、時間単位で意識する。また、スキルを掛け合わせることで独自の強みを確立する。時には傍流の仕事や困難な仕事に手をあげることで、自身のバリュープロポジションを確立することが重要である。さらに、仕事外の時間でも自己投資や学習を継続することがプロとして価値を発揮するために重要である。
完成度と時間の掛け合わせで仕事の価値は評価される。仕事のクオリティを意識し、やりきる力・当事者意識を持つ。あわせて、与えられる仕事をこなすhowではなく、何が解決されるべきかを考えるwhatを打ち出せる存在こそが真のプロエッショナルである。

・会社のリソースを使い倒す
企業の持つ経営資源、人脈、ブランド力を使い倒す。例えば私が就職する企業の一人当たり営業利益高は2500万円である。これを起業家が達成することは非常に困難である。企業にはシナジーや影響力を増大させる力があるといえよう。
また、社内起業や社内転職など、大企業であればあるほど、自身のキャリアの幅を広げられるような機会が豊富である。一定の社内政治は必要であるが、根回しと志をうまく活用すれば成長機会を得ることができよう。大事なのは主体的に仕事に取り組む姿勢と向上心である。

今後に向けて
・志を定める
自分が目指していきたい方向性と会社のビジョンの重なりを意識する。will/can/mustのフレームワークで整理する。その際、なぜ自分がやりたいのかストーリーを持ち、相応の準備や努力(自習や勉強会の参加・資格取得)の事実を積み重ねて周囲の協力を仰ぎたい。

・機会を使い倒す
特にCVCを盛んに行なっている通信企業においては、新規事業の機会も豊富にある。また、海外留学制度もある。こうした機会には積極的に手をあげ、自身を成長させたい。その際、自分のバリュープロポジションをどのように形作るかを常に意識したい。一般に一つの職能を強みにするまで10000時間(約3-5年)といわれている。営業・語学・統計(マーケティング)あたりを中心にキャリアを形成したい。

・腹を括る
とはいえ大企業の論理は弊害も予想され、職位が上がるほど相応の社内政治や内向きの努力が必要となるかもしれない。しかし、物事には変えられる部分と変えられない部分があり、肯定的にあきらめることも必要である。そこで重要なのは、いつでもやめられるという心構えと能力を形成しておくことだ。飼い殺され、他所にも行けないという人間になると、現状への不満と無力感も募るであろう。肯定的なあきらめと準備を胸に抱えて働くことで真に主体的であることができる。

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