妄想ショート どらえよ~~ん
のび太君と出木杉君がクラス委員の座をかけて投票で争うことになった。
のび太君「ここで出木杉君に勝ってしずかちゃんに良いところ見せなくちゃ。それに勝ったらお小遣いあげてくれるってママが約束してくれたし」
のび太はやる気になって必死で選挙活動をした。時にはジャイアンにこっそり頼みこみ、ジャイアンにいじめられた子を助けるという芝居を打ったりしたけど、どれだけやってもクラスの人間からは「出木杉君に投票する」と言う返事しか返ってこなかった。
とうとう追い詰められたのび太君は、投票前日、いつものようにドラえもんに泣きついた。
のび太「どらえも~~ん、なんとかしてよ~~。選挙結果を変えるマシーンとかないの~~」
ドラえもん「ダメダメ。選挙は投票者一人一人の意志で決めるんだから、結果を変えちゃいけないんだよ!」
のび太「そこを何とか~~。勝たないとしずかちゃんに嫌われちゃうし、お小遣いもあがらないよ~。もし勝てたらドラえもんにもどら焼き買ってあげるからさ」
ドラえもん「も~~しょうがないなあ。のび太君は」
ドラえもんはごそごそとポケットを探った。
ドラえもん「テッテケテッテッテー♪ 投票結果変更マシーン どらえよ~~ん!」
のび太「わ~~。なあに、それ」
ドラえもん「これさえあれば、相手に投票した票数も好きなだけ自分のほうにカウントできるんだ! 学校の投票カウント用コンピューターにも簡単にアクセスできるから、選挙結果を変えるなんてお手のものなのさ!」
のび太「やった~! ありがとう、ドラえもん!」
ドラえもん「よし、じゃあ早速設定するよ!」
こうしてドラえもんに機械を設定してもらったのび太。
翌日、投票直後に開票が始まると、すぐに得票数が出木杉君を上回り、当選確実となってみんなからの祝福を受けた。
ところがその翌日。
なぜか朝一番に先生が再び投票用紙を配り始めた。
先生「昨日の投票だが、最終的にのび51、出木杉1で、うちのクラスの合計42人より10多いという不思議な結果になった。おそらくコンピューターの不具合だろう。ということで、今回の結果は無効とし、みんなには再投票してもらう。投票用紙は手作業でカウントすることにした」
のび太「えっ? だって、うちのクラスは男性19人、女性23人でしょ? 合計52人じゃないの?」
ジャイアン「馬鹿だなあ、のび太。19+23=42だろ。そのくらい俺だってわかるぞ」
のび太「がびーん」
算数の苦手なのび太は、ドラえもんが投票数を設定する際に、クラスの合計人数を間違って伝えていたのだった。
スネ夫「だけど出木杉が1っておかしいよ。ボクちゃんは出木杉に投票したし、ジャイアンもそう言ってたよ」
みんな「僕も」「私も」
青ざめるのび太。
先生「のび、お前何か知ってるのか」
のび太「ぼ、僕は何もしてません! ドラえもんが勝手にやったんです!」
先生「ふむ。ではドラえもんに直接聞いてみよう」
先生がのび太の家に調査に行った頃には、ドラえもんはすでに机の引き出しから未来の世界に逃げてしまっていた。そこに証拠品のどらえよ~~んを残して。
先生「のび。なんだこれは!」
学校に戻ってきた先生がのび太を問い詰め、のび太はついに得票数操作の事実を認めざるを得なくなった。
しずかちゃん「のび太君、見損なったわ。選挙で不正を働くなんて最低よ」
お母さん「もう、ママまで学校に呼び出されて散々怒られたわ。お小遣い3か月なしよ」
のび太「そんな~~。しずかちゃ~~ん。ママ~~~」
先生からもこっぴどく叱られて、罰を受けたのび太。
再選挙では、出木杉君が圧勝し、見事クラス委員に選ばれた。
最終得票数は出木杉君40、のび太2。自分以外の誰かが1名だけのび太に投票していたが、無記名投票では誰なのかはわからなかった。
(完)
※選挙の情報をいろいろ見てたら面白くなって思いつきました。本当にこういうことがあったんだと言いたいわけではないよ~(;'∀') まあ、もし不正があるのならちゃんと明るみになってほしいですけどね。
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