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真っ白な宝の地図

「あなたが本当にしたいことはなんですか?」

どの自己啓発本にも、大体書かれているこの質問。
25歳の私は、答えることができないでいる。

年の離れた姉二人をもつ末っ子の私は
家族から可愛がられて育ってきた。
姉からは、いつも人生の見通しをもらっていた。

「夢は小学校の先生になること」
母子家庭になった中学生の時、姉が教員として活躍していた。
母親がそれを誇らしげにしている。
自分は小学校の先生になりたいのだろうか
なんてことを考える前に決めた夢。
今考えると、当時の自分にとって
頑張れる意味をもつことが必要だったのかもしれない。

それからの高校・大学時代では
ボランティアに参加したり、人の相談に乗ったり、リーダーに立候補したりとにかく様々なことに挑戦した。

それら全て、教員採用試験に受かるため。
自分の行動の根源は常にそれに基づいていた。

大学4年生
無事、教員採用試験に合格。
家族みんな喜んでくれた。
教員になった自分が誇らしかった。
これまでの努力がすべて報われたと思った。


しかし、夢が叶ってしまったのだ。


その後、私は初めて自分の人生に対して、本気で悩む羽目になる。
これまで、さぼってきた代償なのだろうか。
何も書かれていない宝の地図を
両手でぎゅっときつく握りしめながら
「私が本当にしたいことはね...」と頭のなかで繰り返す。




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