2023年5月【Wakanaの本キロク】
ご無沙汰!の読書記録、5月から再開しようと思います。また月末に更新していけるようにのんびり書いていきます :)
今月読んだ本
今月読んだのは全部で8冊。
①宮地尚子『傷を愛せるか』
②砂村かいり『炭酸水と犬』
③伊与原新『八月の銀の雪』
④門井慶喜『銀河鉄道の父』
⑤パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』
⑥午後『眠れぬ夜はケーキを焼いて 3』
⑦乗代雄介『旅する練習』
⑧吉田篤弘『京都で考えた』
①は『宿命論4、因果論6くらいの割合で』というタイトルでnoteを書きました。感想や、それに伴って考えたことをまとめて書きたいときは単独でnoteを書くことにしたので、こちらもぜひに。
⑤も、単独で書こうと思っています。
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②砂村かいり『炭酸水と犬』
最初からめちゃくちゃ波乱で、人間味のある感情が生々しくて、でも爽やかさを感じる文章で、なんだか不思議な感じ。タイトルに引っ張られている感は否めないけど、それを抜きにしても読みやすいなあという印象。ドラマを観ている感覚だった。
「炭酸水」と「犬」、どっちも主人公にとっては胸をざわざわさせるもののツートップでうわあああ…と頭を抱える。
結末はすごく意外で。えっそうなるの?という気持ちだったけど、ちょっと昼ドラっぽさも感じた。面白かった!
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③伊与原新『八月の銀の雪』
「人間の中身も、層構造のようなものだ。地球と同じように。
硬い層があるかと思えば、その内側に脆い層。冷たい層を掘った先に、熱く煮えた層。そんな風に幾重にも重なっているのだろう。真ん中の芯がどういうものかは、意外と本人も知らないのかもしれない。」
何かにつまずいたりしんどくなったり嫌な過去を抱えていたり。自分の力では打破できそうにない、どうしたら良いのか分からないときは、揺るぎない科学の力を借りるのも悪いことじゃないと思った。自然の摂理が自分の気持ちを軽くしてくれたり、新しい考え方に繋がったりする。
人間の繊細な気持ちと、絶対的な科学が融合していて、2つの相性がすごく良い短編集だと思う。
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④門井慶喜『銀河鉄道の父』
題名の通り、宮沢賢治の父親・政次郎の話だという予想はできていたが、予想をはるかに上回る面白さだった。不器用ながらも「父親としてどうあるべきか」を考え行動し続けた愚直さ、生真面目さが描かれている。それは確執を生むことやお互いがぶつかることを引き起こしていて終始ひやひやしたけれど、家族ってこうやって関係性をつくっていくものだよな、自然と自分の家族が浮かんだ。
何より、家族に対して愛情を持っていながらもそれを表に出すのが得意ではない政次郎の魅力が詰まっていると思った。
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⑦乗代雄介『旅する練習』
小説家である「私」と、その姪っ子である亜美が、鹿島アントラーズの本拠地を歩いて目指す。
タイトルの意味としては「練習の旅」という解釈らしいのだけど、
サッカーをしている亜美にとっては「サッカーの練習をする旅」、私にとっては「旅の練習」。1つのタイトルで2通りの解釈にも取れるなあと思った。
最後の結末があまりにも予想できなさすぎる終わり方で、なんだか胸が詰まった。衝撃的すぎたからこれは近いうちにもう一回読んで、読み込んで、noteを書きたい。
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⑧吉田篤弘『京都で考えた』
吉田さんも文章の中で書いていることなのだが、ノンブルが内側にあったり上下に空白があったり目次を目立たせなかったりして「シンプルさ」を心がけた本だなと思った。内容も、小難しくなく簡潔なものだけど、読み手に何かを考えさせるような余白もあって、私自身も、言語化には至らないけれども考えながら読んでいた。
京都へ日常的に行っている毎日が少しずつ終わりに近づいている中で、読む意味があったと思っている。読めて良かったと思う。環境が変わったらどんなふうに感じるのか、来年、社会人になったらまた読みたい。
あと、作中で言及されていた『フィンガーボウルの話のつづき』と『中庭のオレンジ』は絶対読みます。
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キロク後記
今月はゼミの研究発表の準備をしていてどこまで読めるか分からなかったけれど、たくさん読めて良かった。特に、もう一回読みたいと思える本に出会えた月でもありました。たとえば『旅する練習』みたいに、図書館で借りて読んだ本が面白くて改めて買った本がいくつかあって、それは6月にまた読もう。
最後までお読みいただきありがとうございました!☀
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