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「バラ色ダンス 純粋性愛批判」川口隆夫(シアターX)

チラシのヴィジュアルと紹介文を見て意味がわからないけど見に行こうと思ったのだが、見た後にチラシを見返したら、ヴィジュアルと紹介文どおりの公演だった。

熱気と混沌の60年代を、アヴァンギャルドの御旗を掲げて駆け抜けた舞踏家・土方巽。その初期代表作『バラ色ダンス』(1965)を出発点に、カワグチタカオに誘い込まれた出自も世代もごちゃ混ぜの異才たちが、底抜けに明るい暗黒ショウを妄創する。
跋扈する20〜80代の肉体、音楽・美術・照明・映像も加担して創り上げるのは、カオスの渦だ。歴史も規範も、あらゆるものを混ぜ返し、時代の常識に膝カックンを食らわせる〈Camp〉の感性で染め上げる。
衛生無害とは対極の「21世紀のバラ色ダンス」、此の世の闇を蹴散らして、いくわよっ、本番!

https://www.rosentanz.com/barairo2023

1960年代の舞踏の文脈を知らずに見たのだが、妙な明るさを感じる舞台。暗さや気持ち悪さも明るさに昇華している。現代のお利口さんの風潮とは違っていて、心なしか、すかっとする。

開演前に舞台上に横たわる全裸の男性、その上で繰り広げられるバトミントン、開演後には、男性の意味があるのかないのかよくわからない全裸での板登り(結構体力が要ると思う)、ピアノの鍵盤に乗っかっての演奏(のちに普通の演奏もある)、人間ではなく爬虫類の身体のような動きを見せる全身が赤く塗られた人(お尻の部分は一部が露出している)が四つ足で這いまわり、ファッションショーのように各自が登場して自身の活動などをアピールし、小学校の運動会を思わせる普通の(?)大縄跳びをし、客席から1人をお茶に招待して舞台に上げ、お茶したり(舞台に上がった観客は妙に慣れた様子だったのでサクラ?と思ってしまったが、舞踏に慣れた一般客だったのか??)、全身を白く塗って、その塗られたものを粉塵としてまき散らしながら踊ったり(粉塵が気になる人向けに劇場入り口にマスクが用意されていた)。

川口隆夫さんは強靭な踊れる身体とテクニックを持ちながら、可憐かつ妖艶な女性のような姿にもなり、変幻自在という印象。

80代半ばの三浦一壮さんが、ゆっくりわずかに動くだけなのにその場の空気を一気に支配し見る者を圧倒するという、舞踏らしい(?)踊りを見せてくれて、すごかった。

川村美紀子さんは以前一度ダンスを見たことがあり、気になっていて、今回出演していることもあってこの公演を見に行った。踊りが上手で、天性の魅力みたいのを感じさせる人(うまく説明できない)。レオタードのような衣装を着ていて、引き締まった身体も美しい。出演者の中でいちばんヒールの高い靴を履いていて、しかも素材が滑りそうなもので、心配していたら、一度ヒールが突っかかって転んでいた。足をひねっていたのでねんざとかだったかも??その後はその転倒の影響を感じさせなかったが、もしかしたら出番を減らしたりしたのだろうか??それはわからないが、カーテンコールに出てこなかったので心配になった。あんなに危険なヒールを履く必然性はあったのだろうか。若い女性とされる出演者がその靴を履いていることにもつい少し引っ掛かってしまった。

リアルタイムでビデオを撮っている人が舞台上にいて、その映像が舞台上のスクリーンに流れる演出があった。音楽の担当が3人いて、舞台上手に陣取っていて、オセロもしてそのオセロ版がスクリーンに投影される場面も。音楽も面白かった。

作品情報

2023年8月9日(水)~8月11日(金・祝)
8月9日(水)19:30
8月10日(木)19:30
8月11日(金・祝)15:00

劇場
東京・両国 シアターX(カイ)

チケット(自由席・税込)
般:¥5,000
U-40:¥3,500
U-25:¥2,500
※当日券500円増し

構成・演出・振付:川口隆夫
出演:三浦一壮、川村美紀子、藤田真之助、三好彼流、川口隆夫
音楽:梅原徹、小野龍一、松丸契
ゲスト出演:吉本大輔(9日)、ジャンジ(10日)、大木裕之(11日)


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