映画『CLOSE クロース』少年同士の柔らかな親密さから生じる悲劇と再生
13歳の少年であるレオとレミは幼なじみで仲がよい。中学に入学するとそのことを同級生にからかわれ、レオはレミに冷たくしてしまい、2人はけんかする。レオは「男らしい」スポーツを始めるが、戸惑ったレミはーー。
悲惨な出来事を描くが、センセーショナルな描写はせず、語り過ぎず、淡々と静かに物語が進行する。さりげないが力強い演技と、色彩と光が印象的な映像が美しい。
関係性をラベリングして決めつけないこと、柔らかさや繊細さや優しさをばかにしないこと。性別にかかわらず、人の態度や接し方を、悪意を持って攻撃することがあってはならない。他者の目が特に気になる十代の思春期に、一生後悔することになる振る舞いをせざるを得ない人がいなくなるように。
監督は、トランスジェンダー女性がバレエダンサーを目指す『Girl ガール』でカンヌ国際映画祭のカメラドール(新人監督賞)を受賞したルーカス・ドンさん。
日本公開より少し前に鑑賞する機会があった。
作品情報
監督:ルーカス・ドン
製作:ミヒール・ドン、ディルク・インペンス
脚本:ルーカス・ドン、アンジェロ・タイセンス
撮影:フランク・バン・デン・エーデン
編集:アラン・デソバージュ
美術:イブ・マルタン
衣装:マニュ・フェルシューレン
音楽:バランタン・アジャジ
レオ役:エデン・ダンブリン
レミ役:グスタフ・ドゥ・ワエル
ソフィ役:エミリー・ドゥケンヌ
ナタリー役:レア・ドリュッケール
チャーリー役:イゴール・ファン・デッセル
ピーター役:ケビン・ヤンセンス
2022年製作/104分/G/ベルギー・フランス・オランダ合作
原題:Close
配給:クロックワークス、STAR CHANNEL MOVIES