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『ヴィジュアルを読みとく技術―グラフからアートまでを言語化する』吉岡友治著

著者は比較文学・演劇理論を専攻して、アメリカ大学院の修士課程を修了し、塾講師を経て、小論文のインターネット講座を主宰。ロースクールやMBA志望者、企業を対象にライティングを教えている。

前半の「I 基礎編」は、グラフや入試問題、アート作品を題材に、ヴィジュアルの言語化の方法や例文を提示。ちょっとつまらないと思った。

後半「II 応用編」では、各章で1つのアート作品を取り上げて、1つのテーマを切り口に、持論を展開。読み応えがあり、なかなか面白かった。

著者がビジュアルについて考えを深めるようになったきっかけは、シカゴ大学大学院での講座だったという。シカゴ美術館で作品についてレポートを書き、プレゼンをした。

その際、(母語の日本語よりも)慣れない言語である英語を使ったことがよかった、と述べている意味はわかる気がする。人と話すうちに見方がクリアになっていくという点も。なんとなくは書けない言語だからこそ、自分が何を感じてどう表現して何を伝えたいのか、じっくり向き合うことになるのだろう。

本書の目次

はじめに
I 基礎編
第1章 ヴィジュアル情報の見方と語り方
第2章 ヴィジュアル・メディアの特徴は何か?
第3章 解釈という段階
第4章 グラフ・データの読み取り方
第5章 ヴィジュアルの見方――絵を解釈する
II 応用編
第6章 「カワイイ」絵は本当にカワイイだけか?――キース・ヘリング
第7章 ポルノとアートの境目――エデュアール・マネの挑発
第8章 同じ問題への違う解決――ブランクーシ『レダ』
第9章 社会背景を当てはめる――マーク・ロスコと色面構成
第10章 比較しつつ対立を乗り越える―藤田嗣治『アッツ島の玉砕』
第11章 環境と個人の関係――ピエト・モンドリアン『ブロードウェイ・ブギウギ』
おわりに


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