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#10 顧客を色分けしてみよう

2-4-5. STP分析 

顧客分析の他の方法として、STP分析の「S:セグメンテーション」「T:ターゲティング」があります。
「S」と「T」は、「どのような顧客層を狙うか?」です。
「P:ポジショニング」は、「 競合製品に対して、自社製品はどのような立ち位置」で売るのか?を検討します。


2-4-5-1. セグメンテーション

セグメンテーションは、顧客をグループ分けしていくことです。
グループ分けをする切り口は

  • 地理: 国、地域、気候、文化、宗教・・・

  • 人口統計: 年齢、性別、家族構成・・・

  • 心理: 好き /好まない、性格や行動の傾向、ライフスタイル・・

  • 行動: どんな商品を購入したか?購入目的、使用頻度・・

  • 社会: 収入、職業、学歴・・

などです。
どの切り口を選ぶかは、その製品やサービスに対して顧客のニーズや行動が変わる切り口を選びます。


2-4-5-2. ターゲティング

グループ分けしたどのセグメント(顧客層)を狙うかを決めるのが、ターゲティングです。
どの顧客層を狙うかは、6Rと言われる基準で決めます

  • 市場規模(Realistic Scale):その顧客層の市場規模は大きいか?

  • 成長性(Rate of Growth):その顧客層でビジネスが成長するか?

  • 競合状況(Rival):競合状況は激しいか?

  • 優先度(Rank):その顧客層が高い優先度で製品を選んでくれるか?

  • 到達可能性(Reach):その顧客層は製品について知る事ができるか?

  • 測定可能性(Response):その顧客層の反応を測定できるか?

ターゲティングにより、企業は経営資源をそこに集中投下できるので、競合に対して競争優位を図れます。


2-4-5-3. ポジショニング

「P:ポジショニング」では、自社製品と競合製品の比較から、自社製品の立ち位置を明確にします。
自社と競合製品を比較する基準は、顧客ニーズ、顧客が価値と思う事、競争軸になるもので、例えば、特徴、機能、性能、価格、品質、顧客が持つイメージや印象などがあります。
ポジショニングでは、競合との差別化ポイントを明確にできるので、広告・宣伝(4P分析のPromotion)につなげる事ができます。

自社と競合製品を比較する基準を2つ選んで縦軸と横軸にして、自社と競合の製品をプロットしたマップをポジショニングマップといい、市場全体を俯瞰する事ができます。
ここで注意する事は、2軸は相関性の低いものにする事です。例えば価格と品質を2軸にすると一直線上に並んでしまいます。
ポジショニングマップを見ると、競合がいない又は少ないエアポケットがあったりします。そこに需要があれば、市場開拓の新しい候補地となります。


2-4-5-4. STP分析の例

雑誌を中核としたハルメクの事業は、「年齢 / 性別:50代以上の女性」「心理:服、美容、健康に関心が高い」「心理:自分をシニアと思っていない」をターゲットのセグメント(顧客層)にしています。
この顧客層のニーズに合わせた事業展開で、23年3月に東証グロースに上場するほど成長しています。


サッポロラガービール(赤星)はポジショニングを再定義して、販売好調となっています。
ポジショニングマップの「コク ↔ キレ」の軸はそのままにして、「苦み ↔ さわやか」の軸を「定番 ↔ レトロ・希少性」に代えてリポジショニングしています。ここで明らかにした競合との「違い(差別化ポイント)」を、顧客にPromotionしています。

赤星は僕も最近飲みましたが、飲んだ途端、
「あっ、この味・・・
 若い頃によく飲んだなぁー」
口に広がる味わいは、最近の他のビールにはないものでした。
何とも言えない懐かしさを感じて、その味わいと共にいろんな思い出が蘇ってきました。
不思議な事に「味の記憶」って、ずっと残っているものなんですね。

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