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#11 お飾りのビジョンや戦略になっていませんか?

3.経営理念・ビジョンと戦略 

「戦略の全体像」の中で、「経営理念やビジョン(目指す姿)は、全ての経営戦略の土台となる」という事を書きました。
企業によっては、さらに「ミッション(使命)」や「大切にする価値観」や「行動指針」を個別に設定したり、あるいはこれらをマージして表現したりしています。
経営理念やビジョンと、そこから考え出される戦略は、なぜ、重要なのでしょうか?

(1)全社員が同じ方向に向かうことができる

スポーツもそうですが、全員バラバラな事を考えていると、チームのパフォーマンスは出ません。
同じようにカリスマ経営者が一人いても、それだけでは会社は大きく成長しません。
たとえ、一人一人の力は小さくても、その小さな力が集まって同じ方向を向くと、大きな推進力になるのです。
例えば、何かの問題で議論沸騰になっても、経営理念やビジョンや戦略に立ち返って冷静に考えると、進むべき方向性が見えたりする事もありますし、全員の納得感も出ます。
また、同じ方向にみんなで向かっているという仲間意識で、組織の壁を乗り越えて助け合えたり、社員のモチベーションが上がります。

(2)社員の自律を促せる

事細かに上司が部下に仕事を指示をするスタイルは、部下の成長は望めないでしょう。部下の一人一人の能力や適性に応じて、仕事を任せる姿勢と適切な支援・アドバイスの両輪で、部下の成長を促すマネージメントがいいと思います。もっと言うと、何のマネージメントをしなくても、部下が自律的に成長するくらいになって欲しい。そこで必要になってくる事は、個人のベクトルと会社のベクトルを一致させる事です。そのために必要なものが、経営理念・ビジョン・戦略です。

(3)企業の永続した成長を期待できる

どんなに素晴らしい製品でも、ライフサイクル(導入期 → 成長期 → 成熟期 → 衰退期)はあります。
企業が一つのヒット商品で終わらずに、継続して成長するためのヒントは、経営理念やビジョンにあると思います。
経営者はもちろんの事、全社員が経営理念やビジョンに共感・納得し、その実現に努力すれば、新しい道が開けると思います。 

JINSの田中CEOは、ファーストリテイリングの柳井会長兼社長から「ビジョンと志のない経営は絶対に成長しない」と言われたそうです。


戦略の納得性の大切さ

企業の戦略は、経営理念やビジョンから落とし込んでいきますが、戦略の策定プロセスには、マネージメント層はもちろんの事、できるだけ多くの社員が関わるのがよいです。なぜなら、戦略について社員の納得・共感が得られないと、まったく意味のない、ただのお飾りになってしまうからです。
逆に言うと、全社員が納得して共感できれば、みんなが同じ方向に向かう大きなパワーになりますし、社員は自律的に成長してくれます。そういう意味でも、経営理念・ビジョン・戦略は、とても重要です。


トヨタとテスラのビジョン

トヨタのビジョンは、トヨタのHPを見ると
「可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える」
とあります。
一方、EV事業を手掛けているテスラは
「持続可能なエネルギー社会へ移行を加速する」
です。

このように、同じ自動車メーカーでも、ビジョンは大きく違いますね。
10年後の両社の姿も、大きく違っているでしょう。
こうやって見比べると、企業カラーの違いも鮮明に浮かび上がっていて、なかなか面白いです。

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