ハイキューから非スポーツ人間が学んだ人生で大切なこと

ハイキューという漫画は本当に素晴らしい。

世の中にはさまざまなスポーツ漫画があり、
そのどれもに熱狂的なファンがおり、
スポーツに携わったことのあるものないもの、
すべてを魅了する力があるのが、スポーツ漫画だ。

だが、スポーツに触れてこなかった文化系根暗代表からすれば、正直すべてのスポーツ漫画に感銘を受けるわけではない。
私がそうなのだ。

なにせ、経験がないのだ。
体育会系のあるある、体力的なしんどさ、才能と努力のぶつかり合い、勝敗以外での絶望、

それらが自分の中に経験として存在していない。

なので、異能系バトル漫画と同じように、
戦いを楽しむ読み方をして、楽しむことはできるが、
どうしても、バトル系と比べると
一般的なスポーツ漫画は、異能ではないことが多いので、やはりSF感、非日常感、ワクワク感、展開の読めなさ、の点で
バトル系漫画の方が好きなのだ。

漫画には、非日常を求めているのであろう。

かと言って、
某有名テニス漫画のような、
非現実な攻撃技をするスポーツ漫画は、
1番興味が湧かない。

日常を設定にしている以上は、
むしろ非現実要素は限りなくゼロにしてほしい、
というのが読者のわがままだ。

その中で、ハイキューは、
本当に日常に徹している。

高校バレー部が、全国一位をかけて大会で戦う話なのだが、すごくリアルなのだ。

学校の部活は、さまざまなメンバーがいて、
みんなモチベーションや考え方、性格、家庭事情等、
一様にちがう。
試合に勝ちたい、という気持ちだけが唯一共通していると思うが、その熱の入れ方もひとそれぞれだ。

そして、そのメンバー全員にスポットライトがあたる、
というのがハイキュー最大の素晴らしいポイントだと思う。
レギュラーメンバーだけでなく、控え選手たちもピックアップされる。全員が主人公の描き方なのだ。
だから、全員をすきになってしまう。
それが他校の生徒であってもだ。
試合に勝つたびに、新しい対戦相手の高校が出てくるが、全員好きになってしまう。
推しがどんどん増えていくしくみだ。

その中でも、私がこれだけお願いだから見てほしい有名シーンがある。
youtubeで何度もそのシーンを繰り返し見ている話がある。
アニメの公式youtubeで、視聴者人気シーンランキングでたしか1位だった。
同志がいて、本当に嬉しい。

主人公の所属している高校の、バレー部1年生のレギュラーメンバーの月島という子が、
『自主練しないの?』という幼馴染からの問いかけに対し、
『たかが部活、たかが25点中の1点、
なにをみんなこんな必死にやるんだよ、
その原動力はなんなんだよ!』と捨て去るシーン。

たしかに、自主練のまえに、
合宿中で、朝から晩まで練習してるのだ、すでに。
その上での自主練。
みんなただ自主的にやってる。
先輩たちも、月島が自主練をしないことに何も言わない、個人の自由だと思っている。

月島だけ淡白、という構図になってしまいがちだが、
別にそんなことはないのだ。

というのも、ちゃんと描かれる。

非スポーツ民からすると、
本当に月島の言い分考え方はよくわかる。
共感しかない。

『自分より才能があってうまいやつは五万といる。
たかが高校の部活。
それで一生食っていくわけでもない。
なのに、なんでそんな必死にできるんだよ。』

それを才能と体格に恵まれた月島が言う。

幼馴染の山口は、
月島と同じく小学生の時からバレーを始めたが、
高校1年ではスタメンにはなれていない。
だけど、スタメンになりたくて、自主練をしている。

山口は、月島は才能もあって頭もいいから、
もっと頑張ればもっともっと強くなれるとわかるから、
勿体無いとも思っていた。だからこそ、
ずっと気にしていた質問を投げかけた。

小学生のときから山口の"憧れのカッコいい対象"は
月島だった。
『たかが部活、たかが25点中の1点、
なにをみんなこんな必死にやるんだよ、
その原動力はなんなんだよ!』

でもその月島に対して、
『そんなのプライド以外になにがあるんだよ!!』
と返す。

ああそうか、
プライドだ、そうだったんだ、
と私は思った。
それまでわからなかった。
月島と同じことを思っていたから。

山口が月島に問いかける前に、
主人公に相談していた。

『(月島に)おまえなら、なんて声かける?』
『なにも言わない!
だって、月島ってカッコ悪いこと嫌いじゃん。
うまいやつと下手なやつ、
どっちがかっこいいかなんか、あいつわかってるでしょ』

そうか、そうだな。
その気持ちならわかる。
みんなプライドとカッコいいから、楽しいから
スポーツにあんなに熱中しているんだ。

今までそれがわからなかった。
だから、熱中できなかった。
どこか私だけ蚊帳の外に感じた。
スポーツのかっこよさ、熱さは、ハイキューが教えてくれた。

これはほんの1シーンであり、
このシーンの前に、さまざまな背景があり、
月島と山口の関係性があり、
よりこのシーンがささる要素が撒き散らされいるわけで、
なのでよりこの言葉がささる。

すごい伏線と構図なのだ。

これと同じことが、
ひとりひとり全員に張り巡らされているのがハイキューという漫画だ。

勝った負けた、
この技を使った、
そういうところに焦点を当てていない。

個人と、人との関係性に焦点を当てている。
結局スポーツも、個人のヒューマンドラマであり、
人との繋がりを描いている作品だと、
思い知らされた。

ぜひ漫画かアニメで
ハイキューを見てほしい。

ではまた、来世で。
K

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