#詩
めんどくさい思考だ、と自分でも思う。
するすると天から縄が降りてくる。それはまるで芥川の蜘蛛の糸のようだと思う。誰も救われはしない。
立ち上がって帰ろうとする自分の目の前に、その人はいた。タイミングが悪かったという顔をしている。知っている人ではない。
お忙しいところありがとうございました。
打ち合わせでも終えるように立ち上がり、会釈をしてその場を去る。
彼らは並んで座る。
自分が階段を上がり、降りてきた縄に手をかけ、首に巻く様子をピク
hopelessness
目を開けると明かりもなく真っ暗な部屋の中
正しい間隔で上下する君の胸元をかろうじて見つける
近づくには暑い(そして鬱陶しいのは君が嫌いだ)
5センチ寄って君のほうを向く
汗の匂いは下ろしたばかりの柑橘系の石鹸が混じる
無精髭を気にしてさわる
ざらりとした感触が指先に伝わる
嫌がるのを承知でさわる
柔らかくて硬い感触が指先に伝わる
眠れなくて寝返りをうつ真っ暗な部屋の中
君の手は左胸あたりだらりダ
帰郷(あるいは黒塗りにされたドローンのための)
首相官邸にドローンが落ちた日、繁華街では若者が騒ぎ、保育園にはお迎えの親が帰宅を急ぎ、僕は彼女を思って、永遠に未読のままのメッセージを送る。
ラジオからは大江千里が流れ、DJは似てると一言で済ませた。
10年どころでは済まされないくらいに時は過ぎ、僕は長い余生を彷徨い、彼女に打ち明けることもなく離れてしまった。
同窓会名簿は転居先不明の印がついているだろう。誰もどうなったか気にも留めないだろうこと
a normal life
野球もサッカーも好きじゃない
走るのは得意じゃない
何かをすれば誰かの邪魔になり
話せば言葉づかいで眉をひそめられ
仕草も同じだ
誰も同じ人はいない
本を開いて音を遮断する
音楽で視界を遮断する
夢は夢だ
展望ではなく願望
寝癖は直す
口は開かない
息はひそめる
気配は消す
生きていることの罪悪感
なりたいものは普通の人
大半の女子がする
大半の男子はしない
僕のすることは
気持