聞えよがし

両立はむずかしい
触れてほしくないこと
側にいてほしいこと
構わないでほしいこと
ひとりにしないでほしいこと

無駄と言われれば消えなくてはいけない
ここにいなくても成立しないといけない

君の言うことは難しい
いつも難しい
意味を持っているようでなんの意味もない
言葉は耳の手前でするりと落ちていく

誰かが来たね
もうひとりじゃないね
僕はもう出ていってもいいね
君は誰かに囲まれているほうが似合う

約束は最初からしてなかったよ
僕は君を幸せにはできない
君は僕のほうを見てはいない
歩く方向が同じだった

たったそれだけのことだ

君の顔を見る
嘘のようだと思う
言葉の端々も
距離のとりかたも たぶん視線も

もしあのとき聞こえた言葉が
本当なのだとしたら
偶然聞こえた言葉が
本当のことなのだとしたら
できれば直接言ってほしかったと思う
そんなこと言ってももうむだだけど

ぜんぶぜんぶむだになってしまったけれど