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ラッパーの新しいビジネスの形~日本はどう見る~

大麻合法化の世界的動き

冒頭の写真に写るラップ・アーティスト達にはある共通点がある。

それは、自らの大麻ブランドを所有しているという点である。

ここ近年、アメリカにおいて大麻使用を合法化する州が相次ぎ、合法化した州は10以上にものぼる。それに伴い、Hip Hop業界だけでなく、一般人にも大麻ビジネス参入が広まっており、2019年の時点で21万人もの大麻ビジネス関連の雇用が生まれている。

そして、大麻合法化の波はアメリカだけでなく世界規模で進んでおり、世界の合法大麻市場は、2021年に314億ドル(約3兆5700億円)規模に達すると推測されている※1。

日本の大麻事情

一方、日本の大麻事情はというと、右肩上がりに大麻関連の検挙人数が増加しており、平成30年には年間3500人を超えている。また大麻犯罪に手を染める検挙者の年齢層も、20代などの若年者層が増えている
(参考:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201806/3.html)

<薬物事犯全体及び大麻事犯の検挙人員の推移>

<人口10万人当たりの大麻事犯検挙人員の推移>

大学生の大麻使用によるニュースなどが取り沙汰される昨今であるが、ミュージック・ビデオに堂々と大麻が使用されるなど、ここ近年の日本語ラップの浸透も一要因となっているのではとも考えられる。

<100MILLIONS (REMIX) / 舐達麻>※2

このビデオだけを見ると、「Hip Hop=悪」という構図が安易に連想されるが、大麻の暗部だけを映し出し、明るい側面を報道しない日本のマスメディアが、民衆の大麻に対する認識を曲解させていることもまた事実である。

大麻の医療的活用

近年では日本語活字メディアでも取り上げられるようになったが、世界的に大麻は医療用に活用されており、抗ガン作用、鎮痛、沈静、食欲増進などの効能を持つ万能薬でもあるのだ。

以下のビデオは、パーキンソン病を患う患者に、大麻成分を摂取させた直後に、病状が緩和する様子を撮影したものである。

<医療用大麻とパーキンソン病>

ビデオでも分かるように、パーキンソン病とは、手足の震えや筋肉のこわばりなど、運動機能に障害が現れる病気である。筆者の祖父も生前この病気を長年患っており、物心ついた時から祖父の体が静止している姿を見たことがない。

そんなパーキンソン病を間近で見てきた筆者だからこそ、大麻がパーキンソン病に及ぼす効能は驚愕的なものであり、他の病気にも一定の効果があるのではないかと類推されるのである。

まとめ

日本のマスメディアではいまだに「〇〇大学の学生が大麻を常用していた」と騒ぎ立てている。

筆者がアメリカに住んでいた時、友達に「日本では大麻使用で全国ネットの大きなニュースになる」と話した際、友達が仰天し大笑いしていたことが思い出される。

90年代のラップのトピックにおいて、「ストリートでのハスリング(ドラッグ売買)」が定番であったが、「合法的なハスリング」がラップされる日もそう遠くないかもしれない。

※1:大規模な市場になると予想される一方で、カリフォルニアでは2019年度の税収が予想をはるかに下回るものだったという事例もある。カリフォルニアは2018年に大麻を合法化し、2019年度の合法大麻による税収は10億ドル(約1000億円)を予想していたが、結果はその約半分の4億7000万ドル(約500億円)にとどまった。その理由として、州レベルで合法化されても地方自治体レベルで禁止していることがある点や、大麻にかけられた高い税金のため、闇ルートで購入しだす者がいる点などが挙げられている。

※2:近年若者を中心に人気を博す埼玉県を拠点に活動する3人組のグループ。ちなみに筆者も注目しており、上述した100MILLIONSは既にクラシックの仲間入りだと確信している。

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