見出し画像

学校でクーピーを全色折られた小1息子の気持ちは


埼玉県在住、リスナーのゆきです。
小学1年生の息子、年中の娘がいます。年末年始に起きた小1息子の話です。


年末に学校のお道具箱を持ち帰った息子クーピーが全色折れていました。
息子に話を聴くと、クラスの子に折られてしまった…とのことでした。息子は折られてしまったことを私に打ち明けてくれたものの、はじめは話したくない、とお友達の名前や詳細も話さずでした。私は息子とクーピーをくっつけて直すことにしました。


コンロで溶接しながら、「このクーピーみたいに人も傷ついたり折れたりするけどさ、大事にされれば、ちょっと折れやすいけど、治るんだよ。」と、見ている息子に言い、それにしてもクーピーは折れやすい、弱い。
例えとしてどうなの?どうか、クーピーよりもしなやかに強く育ってほしい、と願っていました。息子に寄り添って話を聴くと、少しづつクラスの子とのやりとりや気持ちや、関わった子が誰かを私に話してくれるようになりました。

「消しゴムも折られた。遊んでくれて楽しい時もあるけど、怖い時もある。」などなど。それを聴いて私は、「あなたは悪くない」ということ、「お母さんは味方だ」ということ、「『嫌だ』と言ってやめてもらえないことや、やってはいけないことは、大人から伝えたり話しを聴いたりが必要な時もある」こと、「だから、してほしいことがあったら教えてね。」と伝えていました。

「あの子と遊んじゃいけない」とか「やったらやり返せ」とか私自身が親や大人に言われて嫌だった、言いたくない言葉も思い出して、当時のどうしていいのかわからなかった怖さとか、いろいろ思い出してモヤモヤもやもやしてもいました…私は息子に、「逃げてもいいんだよ」とも言っていました。息子は、「逃げた時に、廊下走ってるって怒られる」と言うので、私は、「でも、怖い時や危険な時は逃げていいよ」と伝えました。


そんなやりとりをしていた時、夫が「お父さんにも同じようなことがあった。Mくん(息子)が嫌な気持ちになるかもしれないんだけど…」と言いだしました。息子は、それでも知りたい、と言うので、夫が話してくれました。

夫「お父さん、友達から土を食べろって言われて、食べたことがあるんだけど、まずかったんだよね」

息子「僕も前に土食べたよ、まずいよね」

夫「友達に土食べないと絶交だって言われたから、食べたんだ」

私「え〜!絶交って言われたら土、食べちゃうの!」

夫 「そりゃそうだよ、友達でいたいもん」

私はハッとしました。
そっか、息子はいじめられても、それでも友達でいたいのかもしれない!
同じ保育園出身の子もいない中、コロナだから密はいけないんだと、忠実すぎるくらいにマスクもして距離を保っている学校生活で、話せる子もいなくて、秋になってやっと関わりができたクラスの友達だったんだ!

私は息子がこれ以上傷つかないように、守りたい、逃げて欲しい一心で、すっかり逃げモードだった…。

結局、パパは土は食べたんだけどその子とはずっと仲良くなれないままだったんだよ、という話だったのですが、ふ~ん、と息子は何か思うことがあったように、話を聴いていました。何より、「嫌なことがあってもそれでも仲良くしたい気持ち」や、息子の望みは逃げるのではなくて「良い関係を築くこと」だったことに、私が気がつけてよかった…。自らの苦い体験を話してくれた夫に、感謝の想いで私は胸がいっぱいでした。


冬休みが終わり、嫌々登校した始業式の日「クーピーを折った子も優しかった!」っと帰ってきた息子は嬉しそうで、しかも「クーピーを折った子『も』だよ」の言葉に「そっかあ、クーピーを折った子も、ほかの子も優しかったんだねえ」と私もほっとして返したのでした。

ところが、翌日、「Mくんをいじめて遊ぼうって言われた」「いじめる子が増えてるのが嫌だ」「先生がいない時だけやるんだよ。ばれてほしい。」と言うので、「そっか、ばれてほしいんだね。Mくんから先生にばらしても悪くないし、お母さんから先生に伝えることも出来るけどどうしようか?」と聞くと、「お母さんから言ってばれてほしい」と言うので、息子も納得して、翌日、担任の先生に電話で伝えたのでした。

幸い、担任の先生はとても親身に対応してくださり、進捗も報告のお電話をくれ、息子の気持ちを聴くのがまず大事なので、と、具体的な行動の報告とともに、やっぱり息子は仲良くしたい気持ちだと言っていたこととか、嫌だった気持ちも吐き出せたんじゃないかなと思う、みたいなことも報告してくださいました。

そして、クーピーを折ってしまった子を頭ごなしに怒るのではなくて、その子の気持ちに寄り添って「お友達が折ってるのを見て、面白そうで一緒にやっちゃった」とか相手の子たちの話も聴いてくださっているようで。でもよくないことだった、お互いに仲良くしたいんだ、ということに、できるだけ子どもたち自身が気づくように関わってくださっている…

本当に先生すごい…
忙しい中で、そういう姿勢で接してくださることが本当にありがたいし
やっぱりすごいです…

先に知っていれば違った展開だったかもって思うような、後から話された息子からの話を追加で伝えても、「話してくれたんですね、それは新しい話ですね。」って一緒に受け止めてくれる。もう、本当に、ありがとうございます。

息子が以前、「学級会で優しい気持ちになって、ケンカしてたけど仲直りした」と言っていた2日後に、「やっぱり許さないと言われた」…と悲しんでいたのもあって、私は、学級会で公開処刑みたいなのは絶対やめて…と思い、勝手に心配していたので、電話でそのことも先生に伝えたら、「学級会で取り上げて謝らせるとか、今までもそういうのはないですし、この案件は、個別に対応します」と。そっか、そうなんだ。(息子なりの解釈は別にあるのだろうけど)…とりあえずそれならよかった。というわけで、私も落ち着いて、先生を信頼してやりとりできています。

息子はどうやら、鬼ごっこなどの遊びから勝手にフェードアウトしてしまい、友達に抜けることを伝えていないらしい。ということも、話を聴く中でわかってきました。相手はまだ追いかけっこをしていると思っているので、追いかけられてしまう、それが怖くなったり、怒ったりというのもあるみたいです。で、一方的にしつこくされたと思って、息子が怒ってクラスの子の洋服をわざと汚してしまったりもあって、まだ落ち着いたわけではないのですが…。息子に「謝れたんだね」と言って許してくださった相手の子のお母さんの話を聞いて、救われる思いでした。

やってはいけないことはいけないと伝えてくれたり、できたことは認めてくれたり、子の育ちや他者とのよい関係づくりを見守ってくれる大人がたくさんいてくれて、ありがたいし、いろいろあるけど、私もその一人として、息子の成長をサポートしていこうと思えています。

先生に自分の話を聴かれた日の息子の感想は、「ちょっとスッキリした、先生は聴くのが上手だと思う。話せたし。でも長い休み時間が2回とも全部それでなくなっちゃったのは嫌だった。アドバイスされたけど…遊びをやめるときはやめるってみんなにわかるように言った方がいい、って言われたんだけど、出来るかはわからない、難しいんだよね」とのこと。

今の息子の気持ちに寄り添いながら、私自身の気持ちも受け入れながら、
周りの人との関わりの中で、親子それぞれ成長していけたらいいなと思っています。昨日寝る前に息子に今日のよかったことを聴いてみたら、「お友達が優しかったし、言ったことをきいてくれた。僕がきくこともあるんだけどね」「嬉しかった」と言って眠りにつきました。

「友達が先生に怒られちゃうことは嫌だ、でも仲良くしたいから先生に相談したんだ、怒らないでほしい」

と、息子が拙いながら先生にも伝えることができたのも大きな成長だと思いました。(これは息子の強い望みなんだなと思い、私からも先生に予めお伝えしていましたが。)そして先生も(お友達)くんに、「上のようにMくんが話してくれたからこの話を知ったんだけど」と、(お友達)くんに伝えてくれて、(お友達)くんもその気持ちを受け取ってくれたのかな、と思います。

(先週、先生とお友達とでこの件の振り返りをしたそうです。クーピーが直っていて戸惑っているお友達に、息子は、「僕の元気が出るようにお母さんが直してくれた」と話したそうです。)


戦うか逃げるかだけではない対話を、親も子も、家庭で社会で、少しづつ積み重ねていきたい。小心者の私だけれど、自分の周りから、話しても安心で安全な場にしていきたいなと思っています。

(2021年1月19日の記事より)



おはなしDAYのご予約は

■カレンダーからどうぞ。他にも様々なオンライン講座も開催しています。https://coubic.com/lis-mom/services


■NPO法人リスニングママ・プロジェクトHP
https://lis-mom.jimdofree.com/


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?