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『2021年のスクールソーシャルワーカーの活動の振り返り』~フィンランドのダイアローグの活用~


スクールソーシャルワーカーの活動で自分が意識していたこと

生徒児童本人もそうですし、保護者や先生においても、何らかのトラウマ症状(※1)が起こっていると想定して取り組んでいたと思います。

お互いにトラウマ反応を反射し合う状況があると、いじめや不登校、基本的な信頼関係の喪失が起こると感じており、自分もその渦の中に入っていく感覚があります。

そんな中で、自分も反射して、自分自身が加害者にならないように意識しつつ、言葉を直接本人に投げかけない、一対一の構図を作らない、「リフレクティング形式」の構造で話し合いを行う、など、関係者が安心して気持ちを言葉にできる場を作るように意識していたと思います。

相手の言動を受けて、反射して不安な様相を自分がしてしまうこともあるのですが、コロナでマスクをしているせいで、それがあまり悟られなかった気もします。

※1:主なトラウマ症状…自分や相手を否定的に捉える。自分の気持ちがわからない、抑えられない。考えや行動が極端に制限される。過剰に緊張・警戒する。自分で自分をコントロールできない。フラッシュバック。誰にも言えない(言語化しづらい)など。(参照「トラウマがよくわかる本」白川美也子 講談社 2019年)


具体的にやってみたこと

①学校の先生が当事者児童生徒や保護者と話し合いの場を作る際に、先生自身が心配している当事者として、児童生徒や保護者に協力を求める形で、話し合いの場を提案するのやり方を提案し、言い方や場の作り方を一緒に検討しました。

児童生徒や保護者が当事者性を帯びて、問題がある対象、変わらなければいけない対象にならないようにするためです。

保護者が自分の子供と話す際の声かけや、私(スクールソーシャルワーカー)が、児童生徒やその保護者と話すときなどにも、自分の心配ごとを聴いてもらうところから始められるといいなと思いました。


②学校の先生と家庭訪問して、児童生徒やその保護者とお話しする時に、リフレクティングを活用。

最初何も話したくない状況の時は、まず先生と自分のリフレクティングを聴いてもらうところから始まり、少しづつ気持ちを話してくれたこともありました。

※保護者の方と私でお話をして、それをただただ児童生徒の方に聴いてもらい、感想を聴くということもしました。


③児童生徒と一対一の相談支援の局面が起こりやすのですが、なるべく、本人が話しやすい先生や担任の先生と一緒に話し合いの場を作る。

うまくいったなと思うやり方では、児童生徒本人と話しやすい先生、担任の先生と私(スクールソーシャルワーカー)でペアを組んで、リフレクティング形式で話し合いを重ねたら、結構児童生徒の方が気持ちを話してくれました。


④不登校だった児童生徒がクラスに復帰する際に、担任の先生と有志の生徒(4名)と一緒に「未来語りのダイアローグ」を行った。

私一人でファシリテーターをやった時は、参加者に順番に質問した後に、自分の発言を付箋に書いてもらいそれを模造紙に張りました。


⑤対話的な枠組み(聴くと話すを分ける、ファシリテーターに向かって話すなど)を使って、児童生徒、その保護者、先生と対話的な場を作ることができました。

基本ファシリテーターが私一人になってしまうのですが、管理職の先生にも参加してもらって一緒にリフレクティングをしたりもしました。

いじめによる不登校などで、当事者生徒や保護者、関係教員が多数いる場合は、生徒、保護者、先生ごとに輪を作って、中心に私が座って順番に話を聴いていくということもしました。

というわけで、私はほとんど「フィンランドダイアローグ」の態度や手法で、スクールソーシャルワーカーの活動をしておりました。「フィンランドダイアローグ」に感謝したいと思います。

おまけ:《フィンランドのダイアローグの特徴》

・聴くと話すを明確に分ける

・多様な声が響き合い、多様な声のままであり続ける。

・場の平等性、コントロール性のなさ(平等に声を出すことができる。価値観の押し付けが起きずらい環境を作る。)

・言葉をその場に置く(直接相手に声を発しない。自分の言葉のコントロール性を意識して言い方を気を付ける。)

・解釈しない、ただただ関心を持って聴き続け、それによって起きた自分自身の感覚や思いを伝え返す。 

・みんなで、うまくいっている未来に行って、そこから自分や周りの様子を眺めてみる。

・自分の心配ごととして、問題を捉えてみる。周りの人をその心配ごとを解決していく協力者として捉える。

などなど

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