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「トラウマケアにどんな風にオープンダイアローグが役に立つのか」白川美也子さんに聴いてみた!

2022年12月に実施した白川美也子さんとの対談のダイジェスト版の動画です。『トラウマケアにどんな風にオープンダイアローグが役に立つのか』
というテーマでお話を伺いました。

話し手:みやこさん(白川美也子)
聴き手:なりたか(戸田周公 りすにんぐファーム)

《ゲスト》
白川 美也子さん

主な著作
「赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア」 アスク・ヒューマン・ケア 2016年
「トラウマのことがわかる本」講談社 2019年
「子どものトラウマがよくわかる本」講談社 2020年

こころとからだ光の花クリニックはこちら
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【内容の要約】

1.トラウマケアにどんな風にオープンダイアローグが役に立つのか

オープンダイアローグは、精神疾患を持つ人々が社会とのつながりの中で経験する様々な傷つきを最小化する仕組みを持っている。
再外傷を支援の中で繰り返すのを最小化する仕組みがある。

2.即時対応、社会的ネットワークの視点を持つ、心理的連続性

「即時対応」:トラウマがある人は、待たされることがすごく辛い。
「社会的ネットワークの視点を持つ」:繋がりの中で病気が起きる。
「心理的連続性」:辛いことを話した時に、また別の人がきて、同じことを聞かれると、苦しい体験になる。同じ人がわかってくれている安心感。


3.決めつけられない、対等な関係

決めつけられるのがトラウマの人はすごくイヤ。
自分の体験が解釈されてしまうことがある。
解釈が医療専門職の「鎧」になってしまい、守られてしまう。
権威勾配の中で、どうしても同等でいられなくなる。
そうすると、支援する側も苦しさを感じるし、クライアントさんも苦しくなってしまう。
本当に 対等な立場で話せることを、オープンダイアローグの研修を通して感じた。


4.対話とは

いかに医療的説明や心理教育が、モノローグかと感じることがある。
本人がいないところで決められてしまうカンファレンスがいかに多いか。
閉じたモノローグの話をしている以上は、クライアントさんとの間での「なにか」というのが起きない。
本当にダイアローグをするというのは、言葉が続いていくことだけではなくて、なにかこう、全く違うこの場ができることに何度も遭遇した。


5.リフレクティング、落ち着く体験

リフレクティングという形が私は凄いなと思っている。
一対一は、関係ができちゃうし、規定的な関係になってしまう。
もうひとりいることで、支援者もクライアントもお互いの安全が守られる。

誰かと誰かが話をするのを見ている体験は、すごく落ち着く体験でもある。
リフレクティングに入って、人の話を聴いていると、なんか落ち着く。


6.メンタライズとリフレクティング

「メンタライズ」は、自分の物語を語り続けている人に対して、違う見方があるんだよというとても大切なことを教えてくれる。
トラウマのメガネをかける前にも、人は誰しも、自分の経験からくる正しさ、意味、価値観を持って、物事を判断する。
誰もが、自分が生きてきた水槽からしか見えていない。
リフレクティングを通した「メンタライズ」で、だんだん、自分を外から見る視点を得られていった時に、「ふっと」飛躍される瞬間がある。
正しさの押し付けじゃなくて、リフレクティングの中で起こる。

何にも、いわゆる心理療法ができなかった人が、みんなで困りごとを話したり、心配を話しているのを聴きながら、だんだん、だんだん、間接的に、自分のことを、少しづつ、自分のものとして理解できるようになっていくことがある。

私は、オープンダイアローグを通してそういった様々な感動的な場面に立ち会った。


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