黄金を巡る冒険⑤|小説に挑む#5
黄金を巡る冒険①↓(読んでいない人はこちらから)
僕は規則正しい生活の中で、一番散歩を好んだ。
昼食後の満腹と気怠さが占める昼下がりの最も快活な活動、それが今の僕にとっての”散歩”だ。午後の陽光が鬱屈な気持ちを浄化させ、街の喧騒が活発な精神を情火させる。
まるで長い間使われずしばらく固化した蝋燭に火を灯し、蝋が溶けていくみたいに。
ただ舗装された歩道や公園の小道を歩くだけの行為ではなく、僕にとっては外の世界と繋がる道を歩く行為でもあった。
だから散歩は欠かせなかった。
規