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幼児教育とスマホ

電車内で見かけた親子。子どもは窓から見える景色について親に質問する。看板の文字、目に映るものがいろいろ好奇心を刺激する。親の腕や袖を引っ張って、一緒に見てもらおうとするが、親はスマホの画面に釘付けで、子どもの質問にはそっけない。諦めず一生懸命親に質問を続ける子ども、「ねぇねぇ、」
親は行き先を検索しているわけではない。地図を見ているわけでもない。LINEで何かを確認している。質問に答えない親は、とうとう子どもを叱った。窓から景色を見るのをやめて、子どもは大人しく座った。親に話しかけた。今から行くところについて、今日の予定について、前回行ったときのこと、親はスマホ画面から目を離すことなく、子どもの話に相づちを打つだけで、受け答えはテキトーだ。今度は子どもから愛想を尽かされる。ため息を漏らす子ども。

親子がレストランにやって来た。写真付きのメニューを見ながら楽しく注文した。親はスマホをいじり始めた。父親に続いて母親も。家族の会話も、夫婦の会話もなくなった。子どもは話し相手を失った。メニュー立てからメニューを取り、メニューを見て時間をつぶそう。すぐに飽きる。ドリンクバーに行きたいと言ってみる。夫婦で押し付け合って、今回は父親がドリンクバーに一緒に行ってくれた。家族の会話はドリンクバーの往復のときだけ復活。席に戻ると親たちはスマホいじりを再開した。子どもはつまらない。せっかくの外食なのに。驚くのはこの先。いよいよ料理が運ばれてきた。子どもはよろこぶ。しかしよろこぶ子どもの顔を見ようとはしない親。見ているのはスマホの画面だ。さぁ食べよう。一口食べたら親はまたスマホをいじる。子どもはどんどん食べるけど、親はスマホをいじりながら、食べる手を止めてスマホに夢中だ。食事の会話も弾まない。とりあえず子どもは食べ続けている。食べ方もお行儀も親はノーチェックだ。しばらくしてドリンクバーに行く。このときは少し親子の会話がある。子どもは食べ終わって暇になる。親たちは冷めて美味しくなくなった料理を食べ残してスマホいじりは続く。テーブルの上はドリンクだけだ。子どもは退屈そうにしている。かまってほしいから腕を引っ張る。大きな声で話しかける。スマホを覗き込む。親はうっとおしそうに子どもを払いよけて、静かにしろと言う。親は秘密兵器を取り出した。もう一台スマホを持ってきていた。動画を再生して子どもに渡した。子どもは黙って動画を見始めた。これが家族団らん。食事をしながら話したいことはないのだろうか。

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