DVや虐待は2型糖尿病のリスクを高める
幼少期または成人期を通じて対人暴力にさらされると、成人発症型糖尿病を発症する可能性が20%以上増加するようだ、という米国メハリー医科大学からの研究報告。成人男性と女性、および低所得の黒人と白人の米国人の間では、リスクレベルは同等であったという。
研究者らは、米国南東部の経済的および民族的に多様な集団を対象とした大規模研究であるサザンコミュニティコホート研究のデータを使用して、ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待と、特に肥満と成人発症糖尿病の発症リスクとの関係を詳しく調べた。25,000 人を超える参加者は、2002 年から 2015 年にかけて複数回連絡を受け、パートナーの暴力 (成人の精神的危害、身体的暴力、脅迫を含む)、児童虐待とネグレクト (身体的、性的、精神的虐待)、現在の健康状態 (成人発症型糖尿病の診断を含む) に関する質問に答えた。
ケンタッキー大学医学部産科婦人科および女性に対する暴力研究センターの共同研究者であるアン・コーカー博士は、次のように述べている。「2つの一般的な対人暴力である、パートナーからの暴力および児童虐待(対象者のそれぞれ36%と32%)の割合が高い人は、同じコホートのそれらの経験のない人に比べて、成人発症糖尿病を発症するリスクが20~35%高かったのです。こうした形態の暴力は、トラウマ関連ストレス障害のリスクを高め、それが成人発症型糖尿病の原因となる可能性があります。」
児童虐待と成人後の暴力の両方を経験した場合には、黒人参加者と白人参加者、男性と女性の両方で糖尿病を発症するリスクが35%増加した。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に、対人暴力、心理社会的苦痛、肥満の割合がすべて増加した。筆頭著者のモーリーン・サンダーソン博士はコメントしている。「新型コロナウイルス感染症パンデミックによる社会的ストレスがさらに高まる前から、生涯にわたる対人暴力が人種や性別を超えて糖尿病発症リスクの大幅な増加と関連していたという私たちの発見は、専門家が分野を超えて効果的なパートナーの暴力や児童虐待による短期的および長期的な社会的および健康的影響を軽減するための予防および介入対策を実践できるような支援の必要性を強く示唆するものです。」
出典は『American Journal of Preventive Medicine』
http://dx.doi.org/10.1016/j.amepre.2023.06.007
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