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カロリー制限が加齢に及ぼす影響は複雑

ヒトを対象としたカロリー制限に関する2年間の研究データを分析したところ、カロリーを制限した人々は対照群とは異なる速度でテロメアを失うことを発見した、という研究報告。ただし、研究終了時のテロメア長は両グループでほぼ同じであった。

研究者らは、全米レベルで実施された「CALERIE研究 (ヒトにおけるカロリー制限に関する初のランダム化臨床試験)」からの遺伝子サンプルを分析し、カロリー制限が人々のテロメア長に及ぼす影響を理解しようとした。テロメアの長さはヒトの細胞の加齢の速さを反映するため、テロメアの長さを調べることで、カロリー制限がヒトの加齢を遅らせる方法を特定できる可能性があるという。

研究者らは、CALERIE研究の開始時、12カ月後、および24ヶ月後の研究終了時までのデータを用いて、参加者175人のテロメア長を検討した。研究参加者の約3分の2がカロリー制限群であり、3分の1が対照群だった。

解析の結果、カロリー制限によって体重が減少すると共に、テロメア長も対照群よりも急激に減少することが明らかになった。けれども、12カ月後には、カロリー制限に対する参加者の体重は安定し、その後カロリー制限はさらに12カ月継続されたが、カロリー制限群のテロメアの減少は、対照群よりも遅かった。24か月後には、両群の値は収束し、テロメア長の両群間の統計的な有意差はみられなくなった。

「この研究は、カロリー制限がテロメアの損失にどのような影響を与えるかの複雑さを示しています。私たちは、カロリー制限をしている人ではテロメアの減少が遅いのではないかという仮説を立てました。けれdも、カロリー制限を受けている人はテロメアの減少が最初はより早く、体重が安定した後はよりゆっくりと減少することがわかりました」と研究者はコメントしている。

研究者はまた、この結果が多くの重要な疑問を投げかけていると述べている。たとえば、データがもう 1 年間収集されていたら、テロメアの長さはどうなっただろうか? 参加者は10年間の追跡調査でデータ収集が予定されているので、研究者らは、それらのデータが利用可能になったら分析したいと述べている。

出典は『Aging Cell

http://dx.doi.org/10.1111/acel.14149


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