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引っ越しのストレスレベルを測る

人と世帯に関するミクロレベルのデータを分析して、引っ越しが精神的健康とストレスに与える影響を調べたニュージーランド・オークランド大学からの研究報告。

研究チームは、オークランド地域の成人について、住宅所有者と賃借人、並びに非転居者対照グループのストレスレベルを精査した。結果は、全体として、住宅所有者の平均ストレスレベルが、賃貸人よりもかなり高く、より頻繁に転居する人はそうでない人よりもストレスが大きいことを示していた。このデータはまた、ストレスレベルが高い人は引っ越しをする傾向が高いことを示唆していた。

急性のストレスは一回限りの転居をもたらすように見えるが、慢性的なストレスはより頻繁な転居をもたらすと主任研究者のウィリアム・チェン博士は述べている。この研究はまた、引っ越しをしないでいると、時間の経過とともにストレスレベルが低下することを示している。博士によれば、公営住宅入居者は、住宅所有者や賃借人よりもベースラインのストレスレベルがはるかに高い。

これまでの研究では、引っ越しが精神的健康に有害であることが示されているが、「私たちの研究はさらに、頻繁な転居と住居所有の種類、特に住宅所有者であることがストレスの大きな原因であることを示唆している」とチェン博士は述べている。

チェン博士は、住宅が長期にわたって維持されることを保証する住宅戦略を実施することを推奨している。これには、精神疾患に遭遇した人など、脆弱な人々が住宅をより入手しやすくする支援プログラムが含まれる可能性があるという。「家を失う危険にさらされている個人を支援する経済プログラムが必要です。同時に、安定した住宅を提供するだけでなく、住民が簡単にアクセスできるメンタルヘルスサービスがあること、一時的な状況下でも受け入れられるように設計されていることが必要です。」

研究チームは、マイクロレベルの個人の国勢調査データに基づく、政府の統合データインフラストラクチャを使用して、2013 年から 2018 年の間にオークランドの都市部に住む 19 歳から 54 歳までの非転居者、賃借人、住宅所有者、公営住宅居住者の平均ストレス レベルを分析した。

この国勢調査データにより、1960 年代に 2 人の精神科医によって開発されたストレス比較尺度である、社会的再調整評価尺度 (SRRS) として知られるものを再構築することができたという。元の SRRS では、配偶者の死亡の 100 ポイントから軽微な法律違反の 11 ポイントまで、さまざまな生活ストレス要因に最大 100 ポイントを割り当てている。その他の例としては、引っ越し (20 点)、多額の住宅ローン (37 点)、離婚 (73 点) などがある。

チェン博士は、この新しい方法により、あらゆる集団における個人に対する社会経済的影響を、現在の測定よりもはるかに費用対効果の高い方法で測定できる手段が得られたと述べている。また、国勢調査データと SRRS モデルを使用すると、従来の調査よりも効率的であり、感度が向上し、個人への影響を特定する能力が向上したという。

「私たちは、家を引っ越すことのストレス、場所の経験に対する転居の影響、家を引っ越すことの生涯にわたる、状況、利点、および課題についての理解を深めました。そのようなストレッサーに対する人々の理解を深めることで、研究者らは、個人の歴史と社会的流動性が社会的幸福にどのように影響するかについて、より幅広い議論に貢献できます」とチェン博士はコメントしている。

出典は『都市科学


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