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英国は工業化の過程で小児期のビタミンD欠乏症が蔓延した可能性が高い

英国の工業化期において、子ども時代のビタミンD不足が一般的であった可能性があることが、歯の状態から示唆されている。これは、特に男性において、調査された個体の約4分の3で見られたという。

この研究は、ニュージーランドのオタゴ大学のアン・マリー・スノディ(Anne Marie Snoddy)とその同僚らによって、2024年1月31日付で『PLOS ONE』誌に発表された。

18世紀から19世紀にかけての英国は、工業化と都市化が進行し、ビタミンD不足(VDD)やそれに関連する病気の発生が増加した時期である。イングランド北部のコーチレーン墓地での以前の研究では、骨の病変に基づいてくる病が特定されていた。本研究では、スノディらはこの研究に基づき、歯の組織の新たな分析を行った。

研究者らは、この地点で保存された25名の個体の歯を調査した。不十分に鉱化された象牙質組織の存在が子ども時代のVDDの期間の証拠として使用され、エナメル質ペプチドの分析によってこれらの個体の一部の性別の特定が可能となった。この分析により、調査された個体の約4分の3が子ども時代に貧弱なミネラル代謝の証拠を示し、男児の発生率が有意に高かったことが判明した。また、一部の個体では、季節性の障害を示唆するような、年に一度の歯の組織発達の中断が繰り返し見られた。

これらの結果は、骨の証拠に頼った以前の研究と比較して、VDDのより高い有病率を明らかにしている。男児におけるVDDの高い発生率は、工業化された英国における性別に基づく労働慣行などの社会的ダイナミクスに関連している可能性がある。著者らは、将来の研究では、VDDおよび関連する病態の他の指標を探究し、世界の異なる地域のサイト間での比較を行うことで、これらの結果を拡張することができると提案している。

著者らは「北イングランドの人々の歯で季節性ビタミンD不足の明確な証拠を見つけた。これは、これらの人々が皮膚で作り出すことができるビタミンDの量において、緯度と季節的な日光不足が主要な要因であったことを示しており、興味深い。これは、屋内での労働が増えたことなど、工業革命に関連する要因よりも複雑である」とコメントしている。

出典は『PLoS ONE


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