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"NEWS"から"ポータル"へ。LINEヤフーの執行役員が語る、新たな挑戦と見据える未来像

こんにちは。LINE NEWS企画チームは 、プロダクト企画に携わるメンバーやプロダクトにかける思いについて、発信しています。

LINE NEWSが見据える未来の展望について、LINE NEWS事業担当執行役員(当時)上田恭史さんに話を伺ったのは2022年12月。あれから約2年弱、LINEとヤフーのグループ内再編など、様々な環境の変化を経てきたLINE NEWSの今とこれからとは? 再び上田恭史さんに登場していただき、お話を伺います。

上田 恭史(うえだ・きょうじ)
LINEヤフー株式会社 執行役員。2010年にネイバージャパンに入社し、LINE時代はNAVERまとめ、LINE NEWSの立ち上げに参画。現在はLINE NEWSを含むLINEメディアを統括する。

― 「近い将来、LINE NEWSはパーソナライズされた広義のニュースを届けていく」という話を2022年12月に伺いました。

― その未来像が今はどうアップデートされているのか、お話を聞いていきます。この2年弱の間、LINE NEWSを取り巻く環境には様々な変化があったと思いますが、その未来像に影響を及ぼした背景、変化でいうと、どんなものが挙げられますか。

外的な環境では、まずPerplexityやChatGPTに代表される生成AIの台頭は言及せざるをえない変化でしょうね。今の生成AIはユーザーの中で知りたい情報が明確にある“能動的”な情報の接し方においてイノベーションを起こしていますが、今後は確実に“受動的”な情報消費に対しても影響を及ぼしてくるだろうと考えています。

OSに生成AIが組み込まれていくと、例えば、「野外フェスのFUJI ROCKのラインナップはいつ発表ですか?」と事前に生成AIに聞いてチェックしていた私のようなユーザーに対し、発表された瞬間にプッシュ通知を送ることが可能になります。つまり、アプリケーションも何も立ち上げなくても、ユーザーのあらゆるログを生かして先回りした情報を出すことができるということ。PerplexityやChatGPTなどの生成AIは、情報を摂取する際の「起点」に大きなシフトを起こし、私たちの体験を大きく変えるだろうと思います。

「起点」とは、ユーザーが能動的に何か情報を知りたいと思った時、または、受動的に情報に触れる時の最初のタッチポイントのこと。Instagramでフィードを流し見る、飲食店をGoogleマップやYahoo!マップで探すなど、ユーザーと情報が出合う場所が「起点」となる。

内的な環境では、LINEとヤフーが一つの会社に統合し、LINEヤフー株式会社となったのが大きな変化でした。私たちのチームはYahoo!ニュースを持つメディアカンパニーに合流し、LINE NEWSチームは「LINEメディア」の一員として動いています。

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LINEメディア:ヤフーではYahoo! JAPANトップページとYahoo!ニュースを合わせて「ヤフーメディア」としているため、それをLINEでも踏襲。
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先述したChatGPTを始め、MetaやGoogleなど、私たちの競合はGAFAなどを中心とするグローバルな企業ですから、ヤフーとグループ内再編したことで戦い方に広がりが出て、とても心強く感じます。とはいえ、巨大な海外企業との戦いは厳しい。生成AIや他のソーシャルプラットフォームに起点を奪われる危機感を個人的には強く持っていますし、国内の各種事業者との繋がり、LINEのソーシャルグラフなど自分たちならではの強みを活かし、突破口を早急に開く必要があるでしょう。振り返ると、前回のインタビューからわずか2年弱の間にいろいろ動きがありましたね。

― その内外の変化を受けて、「LINE NEWSのこれから」も前回から大きく変わりましたか。

旧ヤフーのバックアップを得られるようになったことで可能性が広がったのは大きな変化と言えますし、一方で変わらない部分もあれば、前から思い描いていたことがより現実味を帯びてきた部分もあります。例えば、2024年度内に実施予定をしている、ホームタブのリニューアル。これはLINE全体のリニューアルの一環で行われるもので、現在は左のファーストタブから順に「ホーム」「トーク」「VOOM」「ニュース」「ウォレット」と並んでいるタブが、「ホーム」「トーク」「VOOM」「ショッピング」「プレイス」に変更される予定です。また、リニューアル後のホームタブはニュースだけでなく、あらゆるコンテンツが集まるポータルという意味あいから、私たちは社内でポータルタブと呼んでいます。(以降、リニューアル後のホームタブのことをポータルタブと記載)。

LINEヤフー株式会社 2023年度通期および第4四半期決算説明会資料(2024年5月8日)より


「ニュース」タブから、「ポータル」タブへ

このLINE全体のリニューアルのベースには、「ユーザーと情報が出合う起点となる検索を強化するために、検索した先のサービスをまずは強化しよう」という試みがあります。これはLINEヤフー株式会社CPOの慎(シン)ジュンホさんの考えに通じるものでもあるのですが、人々が検索するクエリは主に「ナレッジ」(人物やニュース)、「コマース」(商品)、「ローカル」(飲食店など地域に密着した情報)の3分類。これらのサービスをそれぞれ強くすること自体が、そのまま検索の強化に繋がり、起点を取ることになるのではと。それで、LINEのタブを精査し、ポータル、コマース、ローカルという3領域のタブを新たに作ろうとしています。

この中のポータルタブが、私たちLINEメディアが担う領域になります。

― 現在「ホーム」があるファーストタブに「ポータル」ができて、「ニュース」がなくなるとのことですが、中身はどういうものを想定していますか。

ニュースに加えて、まずは天気や運行情報など、デイリーユースと呼ばれるようなコンテンツが加わります。天気予報を見るためにLINEを起動する人って今はいないと思うんですが、ニュースに次いで広くニーズがあり、Yahoo! JAPANトップページでも一定数のユーザーが天気と運行情報を使いに来ているというデータがあります。なので、そこはちょっと意思を持ってLINEの起動理由を変えていきたいなと。ポータルタブのリリースは段階を分けて、徐々に理想の形に近づいていく予定でいますが、最初のフェーズはYahoo! JAPANトップページに近しい形、役割をイメージしていただくといいかもしれません。

ただし、Yahoo! JAPANトップページと同じものを作ることが今のLINEのユーザーのニーズに合っているかというと、全然そうではないと思います。Yahoo!ニュースのトピックスのような、今みんなが気にしている事柄を扱うものに代表されるように、Yahoo! JAPANはマス的で公開空間にいる存在である一方、LINEはおおむね個人発信で鍵的な空間にいます。今のLINE NEWSはどちらかというとマス側に位置していますが、中長期的に考えれば、ニュースも個人に合わせて変動する要素の一つとして扱うのが、メッセンジャーをベースとするLINEには合うはず。あくまで個人に回帰し、より個人の側に寄り添った情報や機能を強め、ゆくゆくは個人にとってのポータル(入り口、玄関)を目指していくつもりです。

例えば、ポータル上で仲の良い友だちとステータスを共有し合ったり、一緒に予定を合わせて予約したり。サービスや店舗、著名人やメディアなどの「LINE公式アカウント」とユーザーの間で密に接点を持ってもらうことで、LINEアプリの中で様々なアップデートやアクティビティが起こるようにしていきたいですし、これらを集約し、ソーシャル性を併せ持ったポータルとしていきたいと考えています。

個人に回帰する「ポータル」タブの未来

今後、ポータルタブをどうしていきたいかというと…。

これは私とチームのマネージャーたちが実現性は一旦傍に置いて(笑)考えている理想系なのですが、ポータルタブのタイムラインには今の自分が欲しい情報が最適化された形で出ているようにしたいなと思っています。

例えば朝のポータルタブに掲出されるのは、話題のニュース、電車の遅延情報、通勤時に聴くアーティストの情報、朝ドラは欠かさず見ているのなら関連するソーシャルの反応やオープンチャット。

それが昼にはおすすめのランチ情報、オフィスに戻る際にはコーヒーを買うのもいいんじゃないということでカフェのモバイルオーダーのレコメンドに変わったり、

夕方、帰宅時には近所のスーパーのセール情報やレシピ、夜には今晩のおすすめテレビ番組情報が掲出されたり…。

近所のスーパーや好きなアーティストの情報でいうと、「LINE公式アカウント」が今すごく伸びているんです。LINEヤフーのマーケティングソリューションカンパニーでは「Connect One構想」という、「LINE公式アカウント」がすべてのLINEヤフーの法⼈向けサービスの起点となり、LINEヤフーの多くのタッチポイントで接触したユーザーデータをストック化し、集客から予約、購買、CRMまでを⼀気通貫で実現するための取り組みを推進していて、彼らが目指す「LINE公式アカウント」の将来的な姿は、私たちが考える理想系のポータルタブの方向性ともぴったりだと思っています。加えて先日、「スマホソフトウェア競争促進法」(スマホ向けアプリ市場で競争を促すための法律)が閣議決定されましたから、今後はLINEミニアプリでできることの幅が広がるでしょう。ポータルタブの理想系が現実味を帯びてきた印象です。

また、今は友だちに連絡しようと思った時、あるいは連絡が来た時に開く、というケースがほとんどだと思いますが、今よりもっとカジュアルにLINEを使ってもらうアイデアも考え中です。家族や同僚、クラスメイトなどリアルで繋がっている人たちとやり取りするのがLINEの特徴ですが、これがLINEを使うシーンを限定してしまっているんじゃないかなと思うんですよね。例えば上司に見られたくない投稿だってあるでしょうし。それをどう解決するか、実はもうアイデアを議論中ですので、楽しみにしていてほしいですね。

今後は加えて、LINEを開けばいつでも、その時々に必要な情報や機能、見たいコンテンツが先回りして提供され、さらに「見て終わり」だけでなく「会話」「予約」「購入」といった「行動に繋がるメディア」としてのLINEにもなっていきたいです。もちろん、その文脈の中で、「友だち」との関係性を活かした機能やコンテンツ、ソーシャル性のようなものも強化していき、その結果、友だちとのやり取りが増えて、関係がより近くなるような機会をも提供できれば、それがLINEらしい、LINEの延長線にある進化なのかなあ、と思います。

国内屈指の規模で、スタートアップのような尖った挑戦を

LINEでできることって、まだまだ無限にあるんです。イノベーションが起き、ユーザーの行動も合わせて変わり続ける中、私たちのプロダクトの変化にも終わりはないでしょう。せっかくならその変化を楽しむマインドでいられたらいいなと思いますね。また、ヤフーとグループ内再編したことで様々なサービス連携の可能性が広がり、開発や営業よりも強力な体制となった環境だからこそ、今は本当にチャレンジしがいのある時期。実現性を一旦傍に置いた理想は大いに考えてもらったらよくて、それを臆せずぶつけて、チャレンジしていく仲間を増やしていきたいです。

私自身、LINEの前身であるネイバージャパンから加わって10年以上経ちました。「この会社の何が良くて、長く働いているんですか」とLINEの頃からよく聞かれますが、それは、大企業とスタートアップのいいところを兼ね備えているから。大規模なユーザーベースがあるからこそ起こせるインパクトも、スタートアップ的なチャレンジングな企画も、両方実現できる。これはヤフーとグループ内再編した今でも変わりません。加えて、この規模感やユーザーベース、幅広い事業領域を持ち、なおかつ自分たち自身や近いところで意思決定ができるのはLINEヤフーだけです。

人に求められる資質に関して言うと、大企業的なスキルとスタートアップ的な姿勢どちらも必要ということになります。例えば、大きな組織を動かすためのマネジメント力や調整力、自分の領域を定めずに動くチャレンジングな姿勢。プロダクトマネージャーなら、「結果にコミットする力」「多様な中でのアレンジ力」「探究力」「視点の高さ」も必要でしょう。特にこれらの4つの資質は、プロダクトマネージャーに求められることとしてLINEの頃に定義されたもの。自分たちで意思決定をしてプロダクトを作り、マーケティングもしてユーザーにリーチするところまでやるので、求められる資質の幅は広いかもしれませんが、この規模感でそれができるのは私たちだけ。自分の仕事人生だけでなく、日本全国のユーザーの暮らしを便利にする、変えるインパクトを出せる可能性が、ここにはあります。

photo / Keiko Ichihara

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