俺のFIRE漂流記⑥(お仕事小説)
工程6 地力1、プロとはなにか
ほぼ一睡もしていない状態で朝を迎えた。柔道は何事もなかったような顔で登校していき、俺も身支度を整えていつものように会社へと出勤する。
今日は選曲をする気に慣れず、珍しいことだがオーディオを止めた。そして電話が鳴る。おやっさんからだった。
「吾郎、会社に寄らずに先にピアノ教室の現場に来てくれ」
何も珍しいことはない。俺は二つ返事で車の行き先を変えた。始業時間は9時だが、現場が動いている期間は朝が早い。寝ていないせいもあって、この日は更に早