コロナ禍での貿易 スリランカ編
2020年7月現在、まだまだ世界中で猛威を振るう新型コロナ・パンデミック。
各国は都市封鎖や移動制限、海外渡航禁止、外国人入国禁止など、かつてない規模であらゆる対策を実施。世界規模で甚大な経済的ダメージが発生しています。
私たちは、主にスリランカからヤシガラ培土(ココピート)を輸入しています。
スリランカも、コロナ禍においてロックダウン・全土外出禁止など、徹底した措置と厳しい取り締まりを行いました。
今回は、コロナ禍のスリランカで、私たちの事業にどの様な影響があったのか、具体的な例をお話します。
【製造遅延】
これは言うまでもないですね。
ロックダウン・外出禁止令で、あらゆる産業がストップしました。
5月に入ってから、徐々に経済活動を再開。6月には正常に戻りつつあります。
経済活動再開後の影響を見てみましょう。
【工場稼働率低下】
ソーシャルディスタンス維持のため、工場など生産現場では人員数を制限しなければならないので、工場の稼働率はコロナ前の半分程度です。
また(2020年7月3日現在)夜間外出禁止措置継続のため、繁忙期でも24時間操業ができません。
【コンテナを運べない】
5月、経済活動再開直後のスリランカでは、国内物流がまだ動いていませんでした。政府は再開を指示しますが、国民の多くは感染の恐怖から自粛を継続。物流業者も動かなかったので、国内各工場から出荷される海外向けコンテナを、コロンボ港まで運ぶことができませんでした。
一方、私たち含め、ごく一部の生産業者は自社で物流会社を持っていますので、幸にしてコロンボ港まで運ぶことができました。
【輸出手続きができない】
コロンボ港から海外への輸出。税関オフィスで輸出の手続きをします…が、ここでは税関スタッフの多くが出社拒否。コロンボは高感染リスク地域だったので、多くのスリランカ国民がコロンボを避けていたのです。
それでも出社していた数人のスタッフが輸出通関手続きを行いましたが、滞っていると言っていい状態でした。
【船積書類が発行されない】
コンテナが港を出港します。
貿易貨物は、必ず「船積書類」と呼ばれる書類が紐付けされます。
特に「船荷証券(B/L)」は最重要書類。輸出国(スリランカ)側船会社オフィスが発行するもので、輸入国(日本)側はこの書類と引き換えに、コンテナを受け取ります。
私たちの場合、書類原本をスリランカ→日本へ航空貨物便(クーリエ)で送ります。しかしコロナ禍で航空貨物がほぼ止まりました。
そこで「サレンダー」「テレックス・リリース」と呼ばれる方法を使います。これは、輸出国(スリランカ)側の船会社オフィスで船荷証券(B/L)をオンライン処理。輸入国側で書類原本を受け取らなくても、船会社との取引が完結するシステムです。
航空貨物が止まったので、オンライン処理しか手段はありません。スリランカで処理を進めるのですが、現地船会社オフィスも多くのスタッフが出社拒否。オンライン処理が一向に進みません。ここで作業が滞ると、書類が処理されていない状態で、コンテナが日本に到着してしまいます。
そして、実際にいくつかのコンテナは先に到着してしまいました。
こうなると、あとは日本側船会社オフィスとの交渉しかありません。
船会社側もコロナ禍で混乱している中、正解のない状態での対応だったと思います。
詳細は伏せますが、先に日本に到着したいくつかのコンテナは、無事に私たちが受け取ることができました。
私たちも、スリランカも、船会社も、疫病の蔓延で都市・国家が封鎖されるという初めての経験する事態の中での対応でした。
同様の事態がまた発生した時に、いまの経験が生きるかどうか。それは分かりませんが、出来れば同様の事態は、もう経験したくないですね。
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