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40代。高IQ。アンダーアチーバー。

きっかけは、発達障害のテストを受けたことだった。

それまでのストレスが何度目かの大噴火を起こし、今まで以上に様々な「過敏さ」に悩まされるようになった。それらの症状は発達障害によくみられるものに共通していた。

当時お世話になっていた心療内科の精神科医の先生に相談したところ、「気になるのなら、発達障害のテストを受けてみては?」との提案をいただき、しばし悩んだ末に受けてみることにした。


結果、私は発達障害ではなかった。


当時の私に当てはまっていた症状は、発達障害がある方々が持つ症状と似ていたが、原因はおそらくHSP(五感の過敏さ)だろうとのことだった。結果は、テストを受ける何十年も前から知っていたことで、「やっぱり」という自分の長年の仮説の証明となった。



私は幼少期から、自分がなんだか他の人とは違うということを感じていた。

何かがおかしい。


発達障害という言葉が一般的に知られるようになる前から、「自分の何がおかしいのか、何が違っているのか」を知るためにいろいろな本を読んできた。そして、素人ながらに自分の状態と発達障害は、出てくる症状や身体的な不便さは似ていても、根本的な部分は全く逆であるという理解をしていた。しかし、あくまで素人の私の知識は、本やネットの情報の寄せ集めで、その道のプロではない。本の斜め読み程度で理解できるものでもないはずで、わかったつもりになってしまうことへの危機感も常々あった。

当時の私が感じていた症状は日常生活に影響を及ぼすもので、その解決法を探すことが私の最優先課題だった。そのため、一つ一つ可能性を調べていく必要があった。その症状は、発達障害に関係しているものなのかどうか。もしそうなら、より具体的な対処法も見つけやすくなるだろう…。そのための検査だった。


「発達障害とは真逆の性質を持っています。」とは、そのテストを担当してくださった臨床心理士の言葉。

「…そうですよね」というのが私の感想だった。



そのテストで明らかになったのは、発達障害の有無だけではなかった。



「LilyさんのIQは、非常に高いです。」


「アンダーアチーバー」という言葉を知ったのもこの時だ。



このテストの最後に、臨床心理士から推定されるIQの数値が告げられた(1週間後に告げられた正式な検査結果でも同じ数値だった)。私は、そのクリニックを出て駐車場に着くと、涙を堪えることができなくなった。

たくさんの出来事がまさに走馬灯のように脳裏に浮かび上がり、そこにこれまでとは別の解釈が誕生し、その書き換え作業がここから数週間にわたって続いていくことになった。

子供の頃から感じてきた「何かがおかしい」という感覚や孤独感、疎外感に高IQが関係していたことがわかった瞬間だった。


私は当時、45歳になったばかりだった。




第2話

第3話


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