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国立大学法人法改正案に対して思うこと

noteで自分の政治的な立場を表明をするのは避けてきたが、国会で現在審議されている「国立大学法人法改正案」に対して思うところがあったので書いてみることにした。

私はあくまで一学生であり、政治や法律には詳しくない。
また、特定の政治団体や政党を支持する立場にはないことを断っておく。


国立大学法人法改正案とは?

現在会期中の第212回臨時国会にて審議中。
政府が今国会での成立を目指している。

具体的な内容としては、

大学に「運営方針会議」なる合議体の設置を義務付け、この会議が大学の中期計画や予算・決算を決議。それに基づいた運営でない場合、学長に改善を求めることができる。

運営方針会議設置など国立大学法人法の改正案 国会で審議入り
NHKニュース

簡単に言えば、政府側である文科省の息がかかった「合議体」の委員による決定が大学の方針となり、学長がそれに反対しても覆せない法案、ということだ。

現時点では事業の規模が大きいとされる東京大学、京都大学、大阪大学、東北大学、名古屋大学と岐阜大学を設置する東海国立大学機構の5つの法人において、合議体の設置が想定されている。

では、この法案の何が問題なのか。

大学の自治と学問の自由が脅かされる

大学の自治とは、大学における管理・運営・研究などの自主性を尊重し、学問の自由や教授・学生の立場を守るために、外部の干渉から守られるべきだという考え。

大学の運営や研究に対して外部の干渉を受けてしまうと、その研究内容や予算の使い方までもが決められてしまうことになる。
極端な話、政府に都合の悪い立場をとる教授を解任したり、国が進めたい研究だけをやるように指示されたりするかもしれない。

これでは大学教授らの間から「既に瀕死の大学自治にとどめを刺そうとしている」という声が出るのも不思議ではない。

求められる「稼げる大学」化

今回の国立大学法人法改正案に限らず、近年の国の動きを見ていると「とにかく国立大学を稼げる大学にしたい」という意図が透けて見える。

資金難に苦しんでいる国立大学が多い。
研究費をクラウドファンディングで集めたり、光熱費の削減のために図書館の開館時間を短くしたりしている大学もあるそうだ。
そのような中、大学の資源配分のあり方(予算、決算)をも決定する権限を政府が握ろうとする今回の法案に対しては、懸念がある。

国立大学が利益の追求ばかりに精を出し、学生=顧客、教職員=従業員という図式が定着してしまえば。
大学は必然的にお金になる学問領域の研究にだけ注力するようになり、大学間の違いや多様性が失われてしまう。
そうなれば、「高度の高等教育を提供することにより、 教育の機会均等とともに地域において人材育成を図り、地域の社会・経済・産 業・文化・医療・福祉の拠点として、それぞれの地域の個性や特色を活かしつつ我が国全体の均衡ある発展に貢献」するという国立大学本来の目的は達成されなくなってしまうだろう。

総括

ここまで思うままにだらだらと書いてしまい、多少分かりにくい箇所もあったと思うが、詳しくは国立大学法人法改正案の廃案を求める呼びかけをしている以下のページを読んでみてほしい。

個人的には、そもそも政府が大学をコントロールしようとすること自体が、学問の自由に反しているのでは?と思う。
大学の自治、学問の自由は決して脅かされてはならない。

参考文献

・文部科学省「国立大学法人法の一部を改正する法律案」
https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00052.html (最終閲覧日:2023年11月11日)

・「稼げる大学」法の廃止を求める大学横断ネットワーク
https://transuniversitynetwork.blogspot.com/2023/11/blog-post.html (最終閲覧日:2023年11月11日)

・「運営方針会議設置など国立大学法人法の改正案 国会で審議入り」『NHK NEWS WEB』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231107/k10014250171000.html (最終閲覧日:2023年11月11日)

・「瀕死の大学自治にとどめ? 国立大の統治強化狙う法改正案が波紋」『毎日新聞』
https://mainichi.jp/articles/20231107/k00/00m/040/254000c (最終閲覧日:2023年11月11日)

・「国立大に合議体を設置 改正法案に懸念の声、文科相「理解できない」『朝日新聞デジタル』
https://www.asahi.com/articles/ASRC76GNCRC7UTIL009.html (最終閲覧日:2023年11月11日)

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