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『敵は、本能寺にあり!』

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“本能寺の変”には『黒幕』がいた――。 戦国最大のミステリー“本能寺の変”の『真実』と、信長の隠し子が辿る戦乱の世の悲しき運命……。 幾つ屍を越えようとも、歩む道の先には骸の山が…
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#長政

『敵は、本能寺にあり!』 第十八話『観月の鍾愛』

『敵は、本能寺にあり!』 第十八話『観月の鍾愛』

 義昭に降伏を勧告するため、信長は『京の復興に』と朝廷へ黄金を贈り、正親町天皇勅命の講和を得る。
しかし義昭はたった三ヶ月で講和を破棄し、炎天の盛夏に槇島城で再挙兵――。
残念ながら彼は、頼みの綱の信玄が春に病死した事を知らなかった……。

 一方信長は、義昭の再挙兵を見越し動いていた。
『義昭が再び挙兵した際には瀬田の辺りで道を塞がれるだろう』と予想。
大軍で湖上移動する為、佐和山で過去に例を見

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『敵は、本能寺にあり!』 第十二話『天魔が来たりて……』

『敵は、本能寺にあり!』 第十二話『天魔が来たりて……』

 勝家を信長のもとへ走らせるよう手筈を整えた可成は、交通の要所である坂本の街道を封鎖。浅井・朝倉の進軍を妨害する策に出た。
しかし、続々と届く悲報に愕然とする――。

「坂本に進軍して来た浅井・朝倉の兵は、およそ三万かと」

「止まらぬか……。このまま奴等が摂津へ向かえば、信長様が挟み撃ちに遭う。…………。
否、――しかし、『戦に勝るかどうかと、兵力は必ずしも比例せぬ』……これは信長様のお言葉じゃ

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『敵は、本能寺にあり!』 第十一話『寛闊の代償』

『敵は、本能寺にあり!』 第十一話『寛闊の代償』

 京への道を取り戻すため、浅井家へ反撃の狼煙を上げた信長は、義弟 長政が六角氏防衛の拠点として築いた湖北の横山城を包囲した。
そして威勢よく士気を鼓舞する――。

「横山城を取れば、京への道は繋がる!
長政の居城 小谷城と横山城は、姉川を隔てた南北向かい山に位置。横山城を占拠し、長政の喉元に刃を突きつけるのじゃ! 
天下静謐の障碍となるならば、たとえ眷顧した義弟であっても取り除かねばならぬ――!!

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『敵は、本能寺にあり!』 第十話『怯者の裏切り』

 ―1570年―
 将軍 義昭の亡命を手助けしたにも拘わらず、己の緩慢により見限られてしまった越前の朝倉家は、着々と名を揚げる信長に焦っていた。
そして隣国 若狭の属国化を狙い、若狭大名 元明を拉致。傀儡として間接支配を遂げる――。

 だが、元明は“将軍の甥”……。幽閉された過去が重なる義昭は、甥の境遇を不憫に思い、又も信長を頼るのだった。

 結局、元明救出を引き受けてしまう信長に、家臣 可

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