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LILUA
2023年4月30日 18:36
「帰蝶様、その後お加減はいかがですか」家臣の伝五と共に訪ねてきた光秀は、帰蝶の前に土産の干し柿や蒸かし芋を並べ、ふっくら丸々とした赤ん坊と彼女を交互に、優しい眼差しで見遣った。「ええ、まずまずです」「あれから信長様は――」「それはもう大層お喜びで。『鼻は儂に似ておるの、目は帰蝶かの』と、いつまでも腕に抱いておいででした。『吾子とはこれ程可愛いものか』と目を細められ。『名は鳳蝶じゃ』と
2023年4月29日 17:53
事の発端は、三年前に遡る――。 ―1553年― 父が他界し、一年後――。冬枯れの山に小さな春が訪れる頃、鹿狩りを楽しんでいた信長の背に向け、突如矢が迫る。「――!! 信長様――!」平手は咄嗟に、矢の前に飛び出した。 ――?!「じいっ――! おいっ! しっかりしろ!!」自身の背後で倒れた平手を慌てて抱きかかえる信長を、平手は虚な目で見上げる。そして身を挺して守った愛しき若