見出し画像

liloのパッケージデザイナーとして。 | 村田敦哉

こんばんは。
lilo(リロ)のパッケージデザインを担当している、村田容器(株)の村田敦哉です。

このnoteでは、私の生い立ちや、家業である村田容器(株)で感じた手仕事の現状。そしてliloのパッケージに込めた想いなどを書いていきたいと思います。

画像1

写真右が僕です。

私の生い立ち

私は滋賀県信楽町で折箱を作る会社の長男として生まれました。
長男ですが、姉が2人と9歳下に弟がいる兄弟構成なので、ほとんど末っ子のように育ちました。その為、20歳の時祖父が亡くなるまで自分が長男である自覚が無かったです。
そんな私は幼少期から高校までサッカーにしか興味が無いような人間で、勉強よりも将来のことよりも目の前のサッカーに熱中するようなサッカー少年でした。今ではまるで面影は無いですが、当時はプロのサッカーチームから練習に誘わたりもしてました。
大学に入学してから、デザイン好きの姉の影響でファッションに興味を持つようになりました。大学時代は自分の好きなファッション雑誌を読み漁り、ファッションにおける色の組み合わせ方や生地間の合わせ方を、知らず知らずのうちに習得していきました。その経験が今のliloのパッケージ作りに役立ってくれたと言っても過言ではありません。
そして、大学卒業後は医療機器商社に4年間勤めた後、現職である村田容器(株)に入社することになります。

村田容器(株)について

村田容器は祖父の代から創業し、今年で41年目になるパッケージ制作企業です。主に、プラスチックと木を使用した折箱を製造販売しています。強みは、製造から発送までを自社で行うことができ、私自身も2、3週間に1度、2トントラックを運転して東京まで納品に行っています。前日の夜に出発し、朝に到着し納品し終えた後、そのまま信楽までトンボ帰りしています。さすがに滋賀から東京の多複は体に堪えますが、頑張っております。弱みはECサイトが無いことです。売り方が昔ながらです。今後、私がliloでの業務を活かして、その辺りも整備してこうと考えています。

私の村田容器での苦悩

私は村田容器では、営業部に配属されました。初めの1ヶ月は研修で各作業工程を回りました。折箱は一枚の板(材料)を蓋と枠と底と仕切りに加工します。それを最後に各部品を食品対応の糊で組み上げることで折箱は完成します。研修期間中、各工程を回っていると作業がとても精密で、ミリ単位の機械合わせをしている職人さんに驚くことばかりでした。機械はほとんどが古いものでデジタルな機械はありません。データを入力すれば適切な長さに設定してくれるような便利さもない。全て目視と感覚が頼りなのです。板は少し歪んでいるものがあったりするので歪んでいる分だけの長さを長年の感覚で合わせています。少しでも寸法がズレれば、歪な形の折箱になってしまいます。この感覚は一朝一夕で得られる代物ではなく、ひたむきにものづくりに取り組んでいなければ得られない感覚なのです。私のような20代で既にデジタルな世の中を当たり前と思っていた人間には、ハードルが高すぎる技術を目の当たりにした研修期間でした。
私は折箱がこんなにも素晴らしい技術と長い工程を経て完成しているとは思ってもいなかったので、1つあたり50円〜100円で売られていることにも衝撃を覚えました。この単価にさらに値下げ交渉があることが更に衝撃でした。父にこのことを相談したことがあるのですが、「そういうものだ」と言われました。ですが、私自身今でもそのことについて納得することができていません。
この体験が、私がliloの1番のファンで全面協力したいと強く思うきっかけになりました。

村田容器とlilo

liloとの初めての出会いはlilo副社長で私の中学、高校の同級生である古谷から、パッケージ依頼を受けたことが始まりでした。
Instagramの私の記事の中でも紹介しましたが、『パッケージとしての役割を終えた後も活躍できる桐箱を作って欲しい』という古谷からの依頼は私の中で衝撃的であったことを覚えています。この仕事の依頼方法は、作り手の想いを創造し、道徳的なものづくりを促進させると思います。
これまでは、どれだけ安い価格で作れるかが肝でしたが、liloでの仕事はいかにお客様に喜んでもらえるかを意識しながらものづくりができます。
ものづくりの本質的な楽しさを教えてもらえた気がしました。
そこから私は約2ヶ月近くかけて古谷とlilo代表の堀と何度も何度も打ち合わせを繰り返しながら、現在の形に落とし込むまでに至りました。

画像2

実はこれで桐箱は完成ではなくて、『お客様からのお声』や私たちが『もっとこうすればもっと喜んでもらえるのではないか、もっと使いやすい形はないか』とアイデアが生まれた場合は、貪欲に桐箱もアップデートします。私はliloでの仕事に従事する身でもありながら、liloの鍋をライバル視している側面もあるからです。

『liloは桐箱があってのliloである』つまり『鍋=箱』の構図が成り立っています。

私自身が作り手であり、『鍋=箱』の構図であるからこそ、『鍋<箱』の構図を目指すことができます。そこには部活で同じポジションを取り合うライバル関係で、お互い切磋琢磨するような、そんな美しいライバル関係が存在していると思います。このような競争関係が生むプロダクトは作り手の想いが詰まった素晴らしいものになると信じています。だから私はこれからもお客様から「箱がかっこいいのでliloを買いました!」と言ってもらえるような桐箱を作っていきたいと思います。

桐箱へのこだわり

画像3

桐箱製作は約2ヶ月もかかりました。というのも、村田容器は創業以来、ずっと折箱を製作してきましたので、今回が初めてのパッケージ制作ということで打ち合わせを職人さんと何度も重ねたためです。実際に使ってもらうことを想定し、何に拘ればいいだろうかと考え続けた結果、①『手触り』②『印籠型』③『開封体験』の3点を意識して制作を進めました。
①『手触り』

liloの箱は桐を使用しています。そのまま箱にすると少しざらざらで角が立ってしまうので、手に触れる面全てをサンダーという電導ヤスリで削ります。
そうすることによって、赤ちゃんが触っても怪我をすることなく、誰が触っても心地いい触り心地を実現しました。また、角を取る作業は非常に難しく、全ての角を同じ丸み具合にする感覚が非常に難しい作業になります。
②『印籠型』
印籠(いんろう)型とは、蓋の下部と身(本体)の上部が重なり、ピッタリと合うことを言います。桐箱は昔から上等品を送る際に使用されてきました。この桐箱を更に印籠型にすることによってより上品な仕上がりになります。さらに、印籠型にすることにより、身に厚みが生まれ重厚感を出すことができます。
③『開封体験』
また、身の内側部分、つまり蓋と重なる部分もサンダーをかけることにより、滑らかで緩やかな開封体験に仕上げました。AppleのiPhoneユーザーの方であれば、iPhoneを新しく購入した時に入っている紙箱の開封体験をイメージしてもらえればわかりやすいと思います。

liloが届いてダンボールから取り出すとまずこの桐箱に入ったliloが出てきます。そして、この桐箱を開封するその瞬間を皆様にぜひ味わって頂ければと思います。また、桐箱の蓋面にレーザー加工で文字や写真を印刷することも可能です。ギフトで大切な人の写真や想いを印刷しプレゼントすれば、喜んでいただけること間違いなしです。

ぜひ、liloを購入された際は、桐箱も楽しんで頂ければ嬉しいです!ぜひ、liloを購入された際は、桐箱も楽しんで頂ければ嬉しいです。

最後に

liloブランドは、人間と道具の正しい共生社会の実現のために『道具へのカンシャ』という価値観を世界に届けることを目指しています。
大量生産・大量消費の現代社会において、私たち自身もそうですが、多くの人にとって本当に大切なモノが何か見えなくなっていることに問題意識を持ちました。どれだけ地球に優しい商品を作ろうとも、どれだけ高性能な廃棄処理システムを作ろうとも、人間の道具に対する態度が変わらなければ真のサスティナブルな社会の実現はありません。
ならば、私たちが『思わず愛着の沸いてしまう道具』『道具について考えなおすきっかけとなる道具を作り出そう。』liloはそんな思いから始まったのです。liloは手仕事の技術をZ世代の感性で再解釈して、今までにない、そして思わず愛着の沸いてしまう道具を世の中に生み出します。

そして、liloの道具たちを通じて『道具へのカンシャ』という価値観を世界に伝えていきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?