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Magnus, Lindberg och hästen Mari(マグヌスとリンドベリィと馬のマリィ)

※ Instagram からの転載です

文:Hans Peterson(ハンス・ペテルソン)
絵:Ilon Wikland(イロン・ヴィークランド)
1978年印刷(発表:1968年)

スウェーデンにおける児童向けの絵本・文学分野の層は想像以上に厚く、現在の日本にその名がほとんど知られていない著名作家は多くいます。そのなかの一人として挙げられるのがハンス・ペテルソン。ちなみに1922年生まれでご存命の様子(まもなく100歳ですね)。

ホントは「ハンス・ペーテション」と表記した方がよいのでしょうけれども、彼の作品がかつて日本で出版された際に「ハンス・ペテルソン」となっていました。作品の日本語版が1968年頃に出版されたものの、現在では残念ながら絶版となっています。

余談ですが、1945年にペテルソンは初めて自分の作品を出版社の児童文学コンテストに提出し、見事に第2位の座を確保しました。これをきっかけに、ペテルソンは次第に多くの作品を残していくことになります。スウェーデン語版Wikipediaに記載されている作品を数えるだけで200作以上ありました。さて、その時にコンテストで第1位になった人物は誰だったかは最後に書きます。

この『マグヌスとリンドベリィと馬のマリィ』は、クリスマスを目前とした、雪が降る12月13日のヨーテボリを舞台とした作品です。

少年マグヌスが目を覚ますと、外は雪が降っていました。朝食を食べて学校へ向かおうとすると、馬の歩く音が。知り合ってしばらくになる、リンドベリィおじさんと馬のマリィがやってくる音でした。こんな雪の降る寒い日にマグヌスは、リンドベリィおじさんとマリィには住む家がなくて気の毒だと思うのでした。しかし、マグヌスは大きな勘違いをしていたようです。

具体的に「Göteborg(ヨーテボリ)」という地名は出てこないのですが、いくつかの地名から、作品の舞台はスウェーデン第2の都市ヨーテボリでることは確実です。実際のヨーテボリの地名がちらほらと登場するので、実際にヨーテボリの地理を理解しているヒトであれば、マグヌスとリンドベリィおじさんが荷馬車に乗って街を進む描写に対する臨場感がぐっと増します(Googleマップで辿ってしまった)。

先ほどの1945年の出版社コンテストの件、アストリッド・リンドグレーンの長くつ下のピッピが第1位だった年でした。


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