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「家族だから何でも許される」と思っていたら関係は破綻する。一番近いからこそ互いを尊重しなければ絆は生まれない。




「今のまま変わらなければあなたを施設に入れることにしたよ。2ヶ月待つから一緒に居られるように頑張って欲しい」


私と一緒に過ごすのが息子の為にならないなら、離れなければいけない。

昨年の今頃、私は泣きながら息子に伝えた。



大切な息子へ



あなたはママ以外の誰のことも信じられず
他の人と過ごしたくないみたいだけれど
きっとママはあなたよりも先に死んでしまいます


だからママだけを頼っていてはいけません


ママは今まで

あなたの不安が無くなるように
出来るだけ多くの時間を
あなたと共に過ごしてきました


でも


その選択はあなたの為にならないと
今朝のあなたの行動を見て思いました


好きな人と一緒に居られる事は
当たり前ではありません


望んでいなくても
別れは突然やってきます


あなたはとても寂しがり屋だから
独りで生きていくのは辛いでしょう


だから他の誰かと信頼関係を築けるよう
あなた自身が努力しなくてはいけません 


健常者と同じように見えるあなたは

目に見える障害を持つ人達と比べて
世間のからの風当たりはとても強く

辛いことばかりが続くでしょう


大部分の人はあなたの特性を理解出来ないし
理解しようともしてくれません


それでも


あなたのことを理解しようとしてくれる人は
必ず現れます


そんな人を見つけたら
その人を大切にするのよ


今、ママにしているように
自分のそばに縛り付けて
どこにも行かせないようにしてはいけませんよ


自分の気持ちばかりを押し付けて
相手の望みを聞いてあげなければ

大切な人はいずれ
あなたから離れていってしまいます


皆にいい顔をして
外の世界で気を使う必要は無いし

どうでもいい人に嫌われたっていいじゃないの


でも


大切な人を見つけたら
その人が笑顔で居られるように
自由にしてあげるのよ


ママはね


あなたがこれから先
ママが居なくても
幸せに過ごせるようになってくれるなら


憎まれたって構わないんだから


2019/04/25



私は数年間、息子の不安をなくす為に出来るだけ一緒に過ごしてきた。

でも、状況はどんどん悪くなっていった。


息子は自閉症の為、他人との関わりが苦手で心を開かない。

不登校になり、デイサービスにも行き渋るようになって仕事に支障が出るようになった。そして、とうとう買い物さえも自由に出来なくなった。

私は自由を奪われて息苦しくなったし、将来の夢なんて描けなくなってしまった。


普通の子育てであれば、安心できる場所があれば外の世界へ出ていけるはず。

でも息子の場合は逆だった。


私は一度目の離婚の時に子供を置いてきているから、子供と離れるのがどれだけ辛いのか知っている。

だから二度目の離婚の時は絶対手離さなかった。息子は何としても自分で育てたいと思っていたんだ。

でも私には出来ない事も沢山あるし、完璧な母親にはなれなかった。

私にとって息子の子育ては難しすぎた。


このままでは息子は自立できなくなってしまう。

元々、私ひとりの努力ではこの関係を維持することなんてできなかったんだ。


「この子は私の所有物じゃない。ちゃんと意思を持った一人の人間なんだ」


私は息子に対する執着を手放した。

そして日々涙を流しながら息子を見守った。




それから2ヶ月の間、息子は本当に頑張ってくれた。

トイレに一人で行けるようになったし、なるべく自分の事は自分でやるように努力してくれた。

そして、仕事の日は学校かデイサービスに素直に行ってくれるようになったし、私の自由時間も作ってくれるようになった。

学校の宿泊学習にも初めて参加して、先生達と一泊することも出来た。

私がずっと行ってみたかった一泊旅行に行くことを許してくれて、その間おばあちゃんと留守番をして待っていてくれた。


息子のお陰で私はとても気持ちが楽になったし、息子自身も出来ることが増えて自信をつけ、大きく成長することが出来たんだ。



2ヶ月はとっくに過ぎたが、私達の間にはずっとこの約束事がある。


「一緒に過ごす為にはお互いの協力が必要なんだ」


私達は親子だけど普通の親子とは違う感覚かもしれない。

それは、思い遣りの気持ちがなければこの家で一緒に過ごせなくなるのがわかっているから。


今、外出自粛生活になり毎日2人で過ごしているけれど、この経験のお陰でとても穏やかに過ごせている。


そして先日、2人で散歩をしながらこう言って笑い合ったんだ。


「私達、結構うまくやれてると思わない?」ってね!^_^




梨々香

感覚が過敏な私は、周りの影響を受け過ぎてしまうのでリアルで多くの人と触れ合うことができません。 だから直接会うことなく皆さんの考えを知ることができるこのnoteは私の学びの場。沢山の栄養を頂いて今もスクスク成長中です。 こんなステキな場所に居させてくれてありがとう。