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○花の分布にまつわるある一つの仮説○
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僕には不思議に思っている事がある。
どうして、遠く離れている所に同じ種類の花が咲くのだろう?
学校の先生に聞いてみた。
先生は、忙しそうに、面倒くさそうに…作業を中断すること無く、両手の指をパソコンのキーボードの上でカタカタKatakataと引っ切り無しに動かしながら、答えてくれた。
「鳥や動物が花の実を食べて、その時に種を落としたり、移動した場所で排泄物として体の外に出すからよ。風に乗って種が長い旅をすることもあるし、時には人間が種を運ぶ事もあるわ」
タンタンとしていて、抑揚のない事務的な口調で…だけど、誠実な感じの回答を先生は僕にくれた。
もう一度言うけれど、面倒くさそうに…。
先生の言う事は頭ではわかるんだけれど、北海道と九州で同じ種類のタンポポや桜が咲くって事に、小学生の僕は納得が出来なかったんだ。
だって…遠すぎるから。そうでしょ?
だから、僕は夜眠る前に、布団の中で考えたんだ。
だけど、これだっ!ていう答えは見つからなくて…僕は、眠ってしまった…💤
僕は夢を見た…。
夢の中で蝶々の羽を持った妖精さんが、ふわりはらりと踊るように、ふわふわパタパタと優雅に羽を動かして湖の上を飛んでいたんだ。
湖の上をひと回り、上下左右に揺れ動きながら飛んだ後、ヘリコプターがホバリングするみたいに空中で静止した。
妖精さんが、体の前で左右の手のひらを合わせて、再び離すと、黄色い光が輝き出した。
しばらくすると光からたくさんの花々が飛び出して、湖へと、風に吹かれて宙を漂いながら、ゆっくりと落ちていった…。
水の表面を漂いながら、水の流れに乗って花が遠ざかっていく…。
妖精さんは、満足そうに笑顔を浮かべて、空高く上昇して湖から遠ざかっていった…
夢の中、突然!?場面が変わって、さっきまでと違う池の上で、妖精さんが、さっきと同じように、たくさんの花々をばら撒く。ばら撒くと言うと雑に聞こえるけれど、決してそんな事はなくて、丁寧な仕草で妖精さんは花を宙へ放つ。
池へ落ちた花々は、流れ出る川に導かれて遠ざかっていく…
遠くへ…
遠くへ…
遠くへと…
眼の前がボヤケて景色が消えていく…
窓から差し込む光に包まれて、僕は目覚めた。
胸が軽くなって、自然と口元が緩む。
溢れ出てくるニヤニヤ。
友達や家族と一緒にいたら絶対に
「ニヤニヤして気持ち悪い」
と言われていたと思う。
そんなふうに思うのに、ニヤニヤが止まらなかった。
だって、謎が解けたんだもの!!
花を増やす事が仕事の妖精さんが魔法と水の流れを利用して、色々な場所に花々を運んでいたんだ!!
小学生の僕は、ノーベル賞モノの大発見!!だと思った。
それから10年以上が立つけれど、今でも僕は秘かに、妖精さんの存在を信じている…。
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