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○神秘の湖に咲く花○




深い深い森の向こう
切り立った崖の奥
人間が立ち入ることが出来ない場所に
その湖は在って、そこに住む者達にとって、楽園となっている。


湖は、昼間、深い霧に覆われていて、霧の先を見ることができない。
不思議なことに夜になると霧が晴れる。現れる景色は絶景で、水平線の彼方から頭上を輝く星々が空を埋め尽くす…そんな中、湖にある小島には花が咲く。

花と湖と空が織りなす光景は、そこに住む者たちを虜にして離さない。

今日は、ウサギさん達がピクニックに来てるみたい。
花の陰から空を見上げて、星座を探す。
恋人同士の二人…ロマンチックな雰囲気にもうメロメロ。朝が来るまで、愛を語り合っていた。

次の日は、白鳥さん達が空から降りてきた。二羽は夫婦で、代わり番こで、ハクチョウ座を演じている。今日は、夫婦揃って、羽を癒やしにやってきた。だから、今日は空にハクチョウ座は見えない。

その次の日には、妖精さんが花のお世話にやってきた。元気になる魔法で花に栄養が行き渡る。妖精さんのおかげで綺麗な景色を見ることができる。

またその次の日には、子供のペガサスが、虹色のオーロラを連れてやってきた。ペガサスとオーロラは仲良しで、よく一緒にやって来る。ペガサスいる時に、この場所へ来られたら、本当にラッキーで、湖、花、星空に加えてオーロラまで見ることができる。美しいこの場所が、最も美しい瞬間だ。ペガサスは、家族でペガサス座を演じていて、今日は、子供が休みの日だったみたい。

そんな幸せな時間が流れる湖に、悲劇が起こった!?

一年の内で、極々たまにある嵐の日、それは起きた。
一瞬の出来事だった。


ドンガラビシャドゥオドーン!!!!!!!!!!空と地面、湖を揺るがすような爆音と共に、あたりがほんの一瞬黄色く染まった次の瞬間…花が咲く小島に火が上がった…カミナリが落ちたのだ!?

星のない夜を煌々と赤く照らしながら
、花が炎を上げた。
運悪く、花が燃えている間に、雨は降らなかった…。
花は燃え尽きてしまった…。

カミナリの音に、花が気になって様子を見に来たみんなは、涙を流した…。

ウサギさん達は、オンオン声を上げて泣いた。
白鳥さん達は、顔を真っ青にして涙をこぼした。
ペガサスの子供は、虹色の涙を流して泣き喚いた。

見回りの妖精さんがやってきた。
目にした光景に驚いて!!急ぎ花を助けようと魔法を放つ。
めいっぱいに魔力を放出しているのに、花は蘇らない…駄目だと思った時に妖精の女王様がやってきた。

妖精さん達が、力を合わせ魔法を増幅させる…妖精さん達の顔と手から大粒の汗が滴り落ちる…妖精さんのお手伝いの蝶々達も力を振り絞る…妖精さん達が力尽き倒れ込みそうになったその時!!


黒く焼けてしまった花から黄金色の光が煌めきあたり一面を包んだ…ますます光が強くなっていく…あまりの明るさに誰もが目を瞑った。目を開くと、焼けてしまった花が復活していた!!

やった!!!!!!!!!!!!!!!!!

そこに居たみんなが拍手をして喜んだ。

ウサギさん達は、満面の笑みを浮かべて声にならない声を上げた。
白鳥さん達は、頬を薄紅色に紅潮させて抱き合った。
ペガサスの子供は、七色の音色で歌いながら踊った。
妖精さん達は、疲れた顔に安堵の表情…みんなが妖精さん達を取り囲んで、お礼を言った。

妖精さん達は、照れて、微笑んだ。
疲れはてた妖精さんと蝶々へ花から、蜜が落ちてきた。
花から妖精さん達へのお礼。

それから、何事もなく毎日が過ぎている。

妖精さん達は、変わらず大事に花のお世話をしている。

これは、生まれてから一番大変だった日の出来事。
みんな、いつも私を大事にしてくれて、ありがとう。
妖精さん達、いつもお世話をしてくれて、ありがとう
ナレーション:小島に咲くピンクの花

おしまい

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