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脱サラ経営者が気づいた、経営者と従業員の違い

恐らくですが、大学を卒業していきなり起業した方にはわからないと思いますし、副業やスモールビジネスを始めて事業主の立場を始めた方は体感する(した)と思うのですが、私が経営者になって気づいた従業員の時との違いをご紹介します。


孤独は友達

早い段階から目標を持って人と違う動き方をしてきたこともあって、元々サラリーマンの頃から友達が多い方ではありませんでしたが、事業主になると非常に孤独になります。

良い悪いは置いておいて、景色が変わるからです。
従業員の立場だと、どうしても組織の歯車の一部として、組織運営を円滑に循環させるための役割になるのに対して、経営者は全く異なります。
全体把握をしなくてはいけませんし、重要であれば重要であるほど意思決定は自分が行うことになります。

特に私が推奨するスモールビジネスでは、一人で完結するビジネスを理想とするのですべて自分でやらなくてはいけません。最初は。
もちろん余裕ができてきたら再現性が容易なものや、重要ではなかったり自分には把握しきれない機能はアウトソースすることになるでしょう。

事業計画策定、商品やサービスの開発、価格交渉、価格設定、オペレーションの確立、売上予測、事務、マーケティング、資金調達、営業、販売、組み立て、発送、アフターサポート、人事、労務、法務、財務、会計などなど。

部分的には共有・共感できる友人や仲間はいるかもしれません。が、全体を通して共有・共感できる人は、同じ経営者だったとしてもそれは無理です。全ての事業体ごとに何らかの違いがあるからです。全てを理解されないのが当然ですし、全てを理解してもらおうとするのはそもそも間違いです。

ということで孤独が友達になります。

大手企業に勤めていた頃、私は同期の仲間、特に一代で1千億円を超える大企業を作った方の息子から話を良く聞いていました。興味関心から「親父さんはいつも大人数で高級な食事を取ってるんじゃない?」と、アホ丸出しの質問をしたことがありましたが、帰ってきた答えは意外なもので「高架下のおでんの屋台で一人で食べているよ」とのことでした。当時は理解できませんでしたが、規模こそ天と地の差はあるものの、今ではそれがよく理解できます。

不安は友達

もちろん普通に「来週は売上が目標に近づけられるんだろうか?とか、あの得意先との案件が自分の手元で止まっているな、早くしないと」というような不安はサラリーマン時代にも抱えていました。が、恐らくですが日常的な職場ストレスの場合を除いて、週末の休みの日はチラホラと懸案事項や懸念材料が横切る程度の不安ではないでしょうか。当然「死にはしない。困るのは会社だ」と割り切っていた自分もいます。

また私の場合、副業で今のスモールビジネスを始めたのでその時から会社にバレたらどうしよう(当時は副業規定なんていうものはなかったので、バレる前に規模を大きくすれば良いやくらいに思っていました)、副業のお客さんからクレームが来たらどうしよう、自宅と別で借りた、自宅よりも高額な店舗用物件の家賃はサラリーマンの給与から支払い続けられるのだろうか?など、すでに色々と事業主的な不安はありました。

全ての機能を自分一人で意思決定して推進させていかなくてはいけないので、もちろん知らないことややったことのないことばかりで最初は不安しかありませんでした。

ただやはり前回書いたように、外部環境や内部環境は時間の経過とともに変化するのが当たり前なので、スモールビジネスの経営者として15年近く経過した今思うのは、目の前の不安が解消されたとしても明日はどうなるかわからないという意味では不安を抱えすぎて心配になっても仕方がない、ということなんですよね。

私のビジネスはフロー型のビジネスなので、それをいかにしてストック型にシフトできるだろうかとか、こういうことが起こったらどうすればその課題やトラブルは回避できるのだろうか、と考えるようになりました。
つまりは「備え」ですね。それをどれだけ張り巡らせることができるか?という点に尽きます。それができれば不安は限りなく不安ではなくなるわけです。

お金の使い方・作り方・残り方とその順序の違い

お金の使い方については、投資と、そうではない浪費や消費との区別をつけるようになったというか「投資的なお金の使い方の最大化」を目指すようになった、というのはこれまでに書いたとおりです。

「作り方・残り方」についても書いたことがあると思いますが、従業員の場合、25日や月末など決められた日を待てば給料は入金します。ボーナス含め源泉徴収された残りが入金され可処分所得額が入金されるわけですが、経営者は違います(個人と法人の役員とでも異なりますが)。

経営者になると個人事業主の場合は売上から原価を引き、残った粗利から水光熱費や販促費などを差し引いた営業利益がほぼ給料となります(税金の支払いや特別な収益や損失は除く)。
また法人の役員となると、役員報酬額を決め、その額を個人口座に入金させることになりますが、その役員報酬の源泉は自分の事業からの稼ぎであり、その残りから会社の(再投資可能な)利益としての残りと役員報酬に分けて差配するわけです。

私は経営コンサルや開業支援もさせていただいていますが、現在従業員である人が初めて経営者として事業計画書を作ってもらう際、必ずといってもよいほど「今自分はサラリーマンとしてこれだけもらっているから、これくらいは給料を取るんだ(貰うんだ)」という発想をする人が多いです。
「(第3者を雇用しないので)その人件費に計上されているのは誰の分ですか?」と聞くと「私の分です」となるわけです。
で、その人件費を簡易な損益計算書に当てはめて、その人件費を支払うのに必要な売り上げを逆算していくと大抵「え!!こんなに売れるかなあ?」となります。

そこで初めてお伝えするのですが「第3者を雇用しないのであれば、そこ(人件費の欄)は0円です。残った利益を全て取れば良いじゃないですか」です。
給料をもらう、受け取ることが当たり前になっていて、その前に「売り上げを上げる」という工程が頭にないのです。
経営者は全ての責任者。だから売り上げを上げれば上げるほど残る利益は大きくなり、当然所得を上げられます。誰かを雇うのであれば先にその人に給料を払う。経営者は最後に貰う。当然売り上げる力がなければ利益も残らないし、報酬を受け取るべきでもない。
だから「いくら貰うんだ」の前に「いくら売り上げるんだ、どうやって売り上げるんだ」の話をもっとしませんか?とお伝えして初めてハッとされることが多いです。

番外編:語尾の違い

私はサラリーマン時代から店舗を構えるビジネスを始めた(それまでに様々なビジネスの失敗経験を有しています)ので、当時から第3者を雇用していました。

サラリーマンの時は組織の一員として、過剰な表現を避け、歯車の一部として円滑に物事が進むように指示型・断定型の話し方はほとんどしませんでした。
誰かに何かを促すときも「〇〇すると良いと思いますよ」だとか「〇〇してもらえると嬉しいです」というような感じで、当たり障りなくあくまでも私の意思ではなく組織を考えるとそのような行動を取った方が良いのではないですかねー?的に、行間を読んでもらうイメージです。

ですが経営者になったらどうでしょう。
「嬉しいです」や「思います」では人は動きません。明確に指示が必要です。「〇〇して下さい」に大きく変わりました。
特に雇用している方は時間給なので、「最短で理解して動いてもらわなくてはダメだ。しかも作業として処理されるのではなく、意図や目的はこうで、そのためにあなたにやってもらう仕事はこれなんだ」というロジックも含めて伝えるように変わりました。
※企業のマネジメント層は部下の育成のために具体的指示は少ないのではないでしょうか。

時間短縮で思い出しましたが、防衛大関係者に聞いたことがあるのですが、自衛隊や防衛大学、海外の軍関係者の中で使用されているミリタリー英語はコマンド(命令)型の非常に簡素な英語だそうで、とても納得しました。

ということで、また今度。

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