池のほとりにて
そこまで連れてって
そう言って私の手を引っ張った。
かさかさでかわいた手の指先は少し冷たかった。
土の地面を蹴る
ほこりが彼女の足取りの模様を作った
それの中をついていく
風がぬるく頬をさらう
鈴虫がとまらない
ビーチサンダルと足の平の間は土で埋まった
うれしかった
彼女のひとつに括った髪の先が私の歩を進めさせる
月がまるすぎて怖い
ついたよ
振り返って言う
膝が茶色い
池のほとり
ずっと届かないや、おおきい
手を広げて言う
そうだね
手を広げて言う
月がゆれて、うたう
月がおどるので
彼女と私は手を取って回ってみた
月になれたと思った
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