大きく変わることは大変。
この前、美容院に行った。
書きながら恥ずかしくなった。
なぜなら、山、田、畑だらけの田舎で生まれ育った僕は、美容院に行くことにまだ慣れてないからだ。散髪屋の方がしっくりくる。
家からすぐ近くの場所にあるし、芋っぽさをなくすために、恥ずかしながらも美容院に通っている。あのおしゃれな雰囲気が、逆に僕の居心地を悪くする。
担当は40代後半の男性の方。川越さん(仮名)と呼ぶことにする。
川越さんはカットをするだけではなくて、そのお店で働いている美容師さんの教育をしたり、施策を打ち出したりする、いわば店長的なポジションにいる方だ。
おしゃれなメガネ、おしゃれな服、おしゃれな髪型。
彼こそが、おしゃれイズムの名にふさわしいような、そんな方だ。
この川越さんに、田舎の山奥から出てきた芋っぽい、いや、もはや芋の僕を担当していただいている。
トークもうまい。コミュ力に低評のある僕でも、会話が弾む。楽しく話してたら、いつの間にか髪が切り終わっている。
声もめっちゃいい。イトーダーキさんに匹敵する。「ラジオのパーソナリティやってました?」と思えるほどの、渋くていい声。
ちなみに川越さんのマイブームは山を走ることらしくて、休日は吐きそうになるまで、自分を追い込んでいるらしい。あと坂本龍馬が大好き。なんかわかる気がする。チャレンジ精神が全身からあふれている。
この川越さんに、いつも髪を切ってもらってる。
この日もいつものように、雑談を交わしながら髪を切ってもらっていると、経営寄りの話になった。
僕が髪を切ってもらっていたのは午前中だったんだけど、午後から川越さんは、会議があるとのこと。社長や、他店舗の店長さんたちと、来年の経営方針などを決めたりするそうだ。
「上層部で施策とか方針を決めていくのって、楽しそうですけど、責任も重くて大変そうですよね」
と、社会のことをなにも知らないクソガキ(もちろん僕のこと)が、その川越さんのお話に対して、返答した。
それに対し、
「大変といえば、大変だね」「以前と真新しいことをやる場合は特に」
「だけどね、大変なことは苦労も多いけど、やりがいも大きいよ」
「大変という漢字って、大きく変わるって書けるよね」
「大変さを感じている時って、大きく変わっていることの証拠でもあると思うんだよね」
本当だ!もしかして、これって、多くの方は知っていることなのでしょうか?
僕はこの話を聞いて、「いい金言をいただけたな」と思いました。
大変という漢字には、そんな意味も込められていたのか。
こういう身近な雑談にも、いろんな知恵が詰まっているんだな。
そして髪が切り終わった後、いつもと大きく変わらない髪型のまま、研究室に向かったのだった。
もちろん、おでこを出す髪型は決してやらない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?