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「Ms.ボーダー」-ロビー活動ー彼女は悲劇のヒロイン8

第八章「ロビー活動」


彼女は
自分のことをよく話す

彼女の話は
悲劇のヒロインを演出するための
同じ話の繰り返し

彼女には、友だちがいない
たった一人だけ昔からの友人がいる
けれど
彼女には付き合いきれない

彼女には時の刻みがない
時間の概念がない

切り替わるボーダーラインがない

早朝であろうと
深夜であろうと
何時間でも
相手が誰であっても、何をしていても
電話をする
話し続ける
人の話は何も聞かない
声すら耳に入らない
相手のことは何も、何一つ考えたことがない

彼女は相手に
男が悪いと思わせる
男の仲間にも、男の親にも

男の周りを取り囲む

悲劇のヒロインは人の悪口を言わない
純真無垢で心優しくなければならない
演出をする
その言葉の言い回しに
はじめは誰もが引き込まれる

彼女は
ロビー活動をする

男の周りを味方につけ
男を窘めさせるように
ロビー活動をする

毎日24時間をふんだんに使い
朝昼晩深夜早朝
順番に誰かに電話する

同じ話を繰り返す
たった一つの同じ話を

彼女のロビー活動は
次第に男の仲間を疲弊させていった

けれど彼女は気づかない
ロビー活動が
彼女自身の計画を壊していることに

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