七羽優妃(ななはゆうき)

人のこといろいろnote

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詐欺師

投資に参加しませんか 誰が一番儲かるかゲーム 出し抜き大会 相手を信じた 言葉を信じた 過去の成功を信じた 希望を信じた お金を信じた すべては 「自分の思い込みを信じた」 騙すことを選んだ 訴えることを選んだ 消えることを選んだ 黙ってみていることを選んだ 捨てることを選んだ 頭脳で生きることを選んだ 体力で生きることを選んだ 情けで生きることを選んだ 欲情を選んだ 誇りを選んだ 生命を選んだ 法も警察もヤクザも関係ない 騙す方も騙される方も すべて 「自分の

    • 「Ms.ボーダー」本編ー全五話の一

      第一話 宣戦布告「悲劇のヒロインストーリー」 ―  豪雨の夜、和也は慟哭しながら車を走らせていた。 雨に合わせてワイパーの動きが早くなる。ワイパー音と雨音に声を掻き消されないように、痛み掠れる喉から声を振り絞り、和也は叫び、号泣している。 着ていたシャツまで止めどなく溢れ流れる涙でぐっしょり濡れるほど、和也はそれまでの人生で初めて大声をあげて泣いていた。 雨が車を叩きつけ、痛そうにボコンボコンと音を立てる。和也はその音にさっきまでの自分を被らせていた。 和也は千葉から下道

      • 「Ms.ボーダー」-探る男ー彼女は悲劇のヒロイン10

        第十章「探る男」 不完全が完全な彼女 彼女の不完全さを持ち合わせた完全が完璧 彼女は ちょっと変わっただけ 彼女は 物事を知らないだけ 彼女は 寂しいだけ 彼女は 頑張っているだけ 彼女は 「僕を愛しているだけ」 言い聞かせる毎日 結婚した日から 一緒に暮らし始めた日から 変わり始めた彼女 あの完璧な彼女は今はいない 男はまだ気づかない 彼女の心の叫びに 気づこうとしない 「彼女は何者」 「彼女は誰」 「消えてくれ」 彼女の言動に疲れ 真実を求め 彼

        • 「Ms.ボーダー」ー誕生日の目ー彼女は悲劇のヒロイン9

          第九章「誕生日の目」 彼女は記念日を忘れない 彼女はカレンダーに印をつける 男にわかるように 今日も彼女は カレンダーの男の誕生日に印を描いた 真っ黒な目の印を 「私は視ている」 印を描いた カレンダーの縁に描かれている 大小まばらに真っ黒な目が 男を凝視している 時間とともに目が増える 彼女が サプライズという刺激や夢のようなひと時を 躊躇うことなく過ごせる 悲劇のヒロインが夢見る瞬間の記念日 そこにつける印は カレンダーの目は 切れ込んだ目頭 大きく真っ黒な

          「Ms.ボーダー」-ロビー活動ー彼女は悲劇のヒロイン8

          第八章「ロビー活動」 彼女は 自分のことをよく話す 彼女の話は 悲劇のヒロインを演出するための 同じ話の繰り返し 彼女には、友だちがいない たった一人だけ昔からの友人がいる けれど 彼女には付き合いきれない 彼女には時の刻みがない 時間の概念がない 切り替わるボーダーラインがない 早朝であろうと 深夜であろうと 何時間でも 相手が誰であっても、何をしていても 電話をする 話し続ける 人の話は何も聞かない 声すら耳に入らない 相手のことは何も、何一つ考えたことがない

          「Ms.ボーダー」-ロビー活動ー彼女は悲劇のヒロイン8

          「Ms.ボーダー」ー監視ー彼女は悲劇のヒロイン7

          第七章「監視」 彼女は 愛を求めている 彼女なりの愛がほしい 男の愛を確かめたい だから男を試す だから見捨てられない完璧な自分をつくる 彼女は 男のすべてを知りたい 「仕事の間も私を想っているか」 「仲間と遊んでいる間も私を忘れていないか」 「寝ているときも私の夢をみているか」 彼女は男の持ち物を漁る がむしゃらに ノートの1ページずつ 郵便物は本物か スーツを整えるふりをして 彼女のものではない髪の毛を探す 携帯のパスワードも難なく聞き出す 電話とメールの相手

          「Ms.ボーダー」ー監視ー彼女は悲劇のヒロイン7

          「Ms.ボーダー」ー魔法の呪文ー彼女は悲劇のヒロイン6

          第六章「魔法の呪文」 あなたは病気よ 彼女は男に呪文のようにつぶやく 彼女には 誰もが羨む結婚のあとの物語がない 思いついたのは 病気の男を介抱する悲劇のヒロイン 物語の続きを描くために 男を病気にする 言葉で病気にする 彼女は 一緒にいる人に 自分がおかしいのかもしれない そう錯覚させる魔法をつかう 彼女は あなたは病気よ 魔法の呪文を唱える 男は 僕は病気なんだ けれど 医者に行っても何もない なぜ彼女がそう言うのかわからない 男は 自分の何もかもを信じら

          「Ms.ボーダー」ー魔法の呪文ー彼女は悲劇のヒロイン6

          「Ms.ボーダー」ー悲劇のヒロイン物語ー彼女は悲劇のヒロイン5

          第五章「悲劇のヒロイン物語」 彼女は頭のなかの物語を生きている 彼女は物語の登場人物にふさわしい人を探している けれど 彼女はオーディションに合格した人を降板に追い込む 彼女は結婚を繰り返す 誰もが羨む男との結婚も幸せも 自分で壊す 幸せになってしまったら 悲劇のヒロインではなくなってしまう 悲劇のヒロイン物語は めでたしめでたし 結婚が終わり その物語に結婚生活という続きはない 白馬に跨った王子様と幸せな結婚するまでの物語 結婚すると 即興で悲劇のヒロインに戻

          「Ms.ボーダー」ー悲劇のヒロイン物語ー彼女は悲劇のヒロイン5

          「Ms.ボーダー」ー完璧ー彼女は悲劇のヒロイン4

          第四章「完璧」 彼女は完璧をつくる 彼女はキレイ 彼女は男から人気のある女性の真似をする どこまで真似ても整形しても その女性にはなれない 彼女はいつも不満足 彼女は優しい 彼女は人に優しさを教える 真の優しさを言葉で知る 彼女は優しさを演出する 彼女は楽しい 彼女はキレイで気遣いもできる 写真を撮るときは変顔をする ドジでオジサンくさい 彼女は笑いも計算できる 彼女は陰口や悪口を言う人が嫌い 彼女は「陰口も悪口も言わない」と言う ターゲットの男の前では 味方にする

          「Ms.ボーダー」ー完璧ー彼女は悲劇のヒロイン4

          「Ms.ボーダー」ー怒りー彼女は悲劇のヒロイン3

          第三章「怒り」 彼女には悲しみが溢れている 悲しみが彼女を覆いつくす 彼女は 人気のある女性をみては 「なぜあの人なの」 「あの人のどこがいいの」 「なぜ私じゃないの」 「私の方がずっと素敵なのに」 彼女が知らぬ間に悲しみは怒りとなり 突沸する 彼女は悲しい けれど自分の悲しみがどこからきているのかを知らない そして悲しみをぶつける相手はもういない 彼女はいつも誰かをターゲットにする 悲しみをぶつけるターゲット 怒りをぶつけるターゲット そうやって 彼女は誰かを攻

          「Ms.ボーダー」ー怒りー彼女は悲劇のヒロイン3

          「Ms.ボーダー」ー愛の定義ー彼女は悲劇のヒロイン2

          第二章「愛の定義」 彼女は人に「愛」を説く 彼女は人に「愛」を求めている けれど彼女は「愛」を知らない 愛は感じることでしか知ることができない それを彼女は知らない いつもある「愛」に気づかない どんな時も、いつでも、いつも 「いつも私だけを見ていて」 「どんな喜びよりも私を一番にして」 「眠るときも私の夢をみて」 それが「愛」 彼女はそう言う 「私を束縛しないのは愛がないから」 「私を毎日欲しがらないのは愛がないから」 「私に驚くような贈り物をしないのは愛がないから

          「Ms.ボーダー」ー愛の定義ー彼女は悲劇のヒロイン2

          「Ms.ボーダー」-白馬に跨る王子様ー彼女は悲劇のヒロイン1

          第一章「白馬に跨る王子様」 彼女はいつも思い描いている 来る日も来る日も 何があっても 彼女は信じている 「世界のどこかに私の理想の人がいる」 「そして彼も私を探している」 いつか必ず出会えると信じている 今日かもしれない、明日かもしれない 今、目の前を通り過ぎている人かもしれない 昨日会った人かもしれない 通っている病院の先生かも テレビや雑誌でよくみる人気者かも 大きなことを解決した弁護士かも 大企業の社長や、外国のスターかもしれない 彼女はいろいろな人に会いに行

          「Ms.ボーダー」-白馬に跨る王子様ー彼女は悲劇のヒロイン1