崖が想起させること~モハーの断崖の記憶より
何年か前にアイルランドにある、モハーの断崖を訪れたときのことを思い出しネットで画像をみていた。
晴れた日に撮ったであろういくつかの写真を、綺麗に撮れていると思いながら、実際は全く異なる景色を見たことを思い出し、アイルランドとは違う国の「崖」を思い出していた。
アイルランド滞在時、ダブリンから車で、途中で休憩を入れながら、モハーの断崖まで向かった。
到着した時の天気は悪く、灰色の曇り空の下、風の勢いも凄まじかった。雨が風に巻かれて上からも横からも降る。風光明媚とはいい難い景色だった。
そして柵がない。この先危険の標識はあるのだが、文字通りその先へ行く人は自己責任だ。
崖っぷちを歩き、仮にバランスを崩して滑ったら崖の下へまっ逆さま。
また冗談でもポンと海側へ押され足を滑らせようものなら、死がそこに待ち構えている。そんな光景が曇り空の暴風、時折小雨が打ち付けてくる中、広がっていた。
モハーでは、落ちないように落ちないようにと歩いたこの崖だが、その昔アジアのとある地域では自ら崖から飛び降りる事を選んだ、否飛び降りざるを得ない人々がいたことを思い出した。
雨でも風でもないものから、逃げる為に。
モハーの断崖、Cliffs of Moher、この英語の名称をみてすぐに思い出したのはバンザイクリフ。
サイパン島の崖。
国によっては呼び方が異なるが、本日は日本では終戦記念日とされている。
実際には8月15日をすぎてもまだ戦争が続いていたとされる地域がいくつかある。様々な証言や文書が、それを物語る。
その中の1つは沖縄だ。沖縄で日本軍が武装解除されたのは9月上旬だ。
そしてその沖縄にも崖があった。
モハーの断崖を見た記憶が、私に2つの崖を思い出させた。
戦後78年目の 8月15日 12時に公開の記事としよう。