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哲学・現代思想

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「わたし」を哲学する

「わたし」を哲学する


1.固有性としての「わたし」

私とは何か。普段、私たちは自分の足の爪先から頭の天辺まで「わたし」であると固く信じている。しかし、本当にそうだろうか。美容院で散髪した後、床に散らばった髪の毛を「わたし」であると思うことはないだろう。視線を身体の内側に転じてみても同じことが言える。血液や唾液や糞尿といったものは、私たちの外部に排出された瞬間に「わたし」という自同性を失ってしまう。

「わたし」が「

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