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【閑話休題#5】菊池良『タイム・スリップ芥川賞』

こんにちは、三太です。
今日は最近読んだ本の紹介をしたいと思います。
その本のタイトルは『タイム・スリップ芥川賞 文学って、なんのため?と思う人のための日本文学入門』というものです。

本書を手に取ったきっかけ

吉田修一さんは第156回(2016年の下半期。ちなみに2016年の上半期の受賞作は『コンビニ人間』)から現在まで、芥川賞の選考委員をされています。
そもそも吉田修一さん自身、『パーク・ライフ』で芥川賞を取りました。
そういう意味でも、これまでも芥川賞には興味を持っており、色々とそれに関することを知りたいと思っていました。
これまでにも芥川賞に関する本は読んだことがありました。(また機会があればそれも紹介したいです)

そんな中、学校の図書室に『タイム・スリップ芥川賞』が入っており、読みやすそうだったので、読んでみることにしました。

あらすじ

あらすじというか、設定に近いのですが、博士と少年がタイムマシンでその当時に行きながら、芥川賞に関わる作家の歴史的場面に遭遇しつつ、作家や作品について解説をするという形で進みます。
また、当時の世相(例えば、2004年は写メールが流行っていたよみたいな)もさりげなく伝えてくれます。

感想

会話形式でよみやすく、300ページほどあるのですが、一気に読むことができました。
その中で、面白かった話をいくつか紹介します。
①遠藤周作の仲介により、柄谷行人と中上健次が知り合う。
 →柄谷行人が中上健次にフォークナーを薦める
 →中上健次はそれに影響を受け、「俺は日本のフォークナーになる」と宣言し、紀州サーガを書く(p.118~)

②村上龍はロックに影響を受けた小説を書いていた(p.169)

③画家の池田満寿夫が小説を書き、芥川賞を取った(p.185)

④又吉直樹は国語の教科書や便覧を通して、文学に出会った(p.296~)

①については、そんなつながりがあったのかという驚き
②・③については、私は映画と文学の関係を探究していますが、音楽や美術と文学の関わりがあったことの発見
④については、国語科としては嬉しいな
という感想がありました。

文学入門の本であり、ビギナーにとってはとても丁寧に説明してくれている本なので、安心して読み進めることができます。ぜひご一読を!

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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