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春のような温かさがいつもある学校に…一言の温もりが、大きなうねりに 〜心の宝物24

🌷イレギュラーな配布物


 コロナ機の学校。

 学校では日々DXが進捗し、2023年の今では、紙の配布物はずいぶん減っています。しかし、3年前のこの学校では、まだまだ紙が主流でした。この「配りもの」も、担任の先生方の大きな負担になります。したがって、通常、その日の配布物は、昼休みまでに、職員室の、各学級の配布物ロッカーに入れられることになっていました。しかし時節柄、コロナや猛暑に係る教育委員会からの急なお知らせ等が入ることがありした。そうなると、校長も含めて、職員室にいる者で手分けして、各学級に届けることになります。


🌷背中に届いた「ありがとうございました」


この日もそうでした。7月の午後、急なお知らせの用紙を、息を切らせて3年生の教室へ届け、次の教室へと急ぐ私の背中に、「ありがとうございました」と声をかけてくれたのが彼でした。


帰りの会。係からの連絡が終わり、担任の先生のお話に差し掛かるちょうど合間の時間、少しざわついた雰囲気の中、そこに配布物が届くことはままあることで、多くの子は特に注意を払うこともありません。そんな中の一言でした。


🌷一言の温もりが大きなうねりに


 背中に届いた、その子の思わぬ一言に、私はびっくりしました。ねぎらいは大人でもうれしいものです。しかも、若干ざわつき、注意散漫な雰囲気の中で、その子は、外来者である私を、意識のうちにとらえてくれました。

 更に、急ぎ駆け付けた意味をしっかりと理解し、ためらわず、感謝の思いを届けてくれました。あまり前面に出る方でなく、どちらかと言えばおとなしい印象の彼が勇気を奮ってくれたことがうれしく、次の教室へ向かう足取りが軽くなりました。廊下の暑さとは異なる温かいものに、全身を包まれました。


 彼の行動のおかげで、それまで以上に、学校に「ありがとう」が飛び交うようになりました。児童一人一人が、他者の善意に敏感になり、謝意を表明することに積極的になりました。そうすると、自分も仲間も心地よい。そんな思いが校風として共有されていきました。


 にこやかに、周囲に善意の関心を向け、気づいたことを力まず威張らず、しかし強い意志で粛々と実行する。そんな彼の美質は、その後高学年となっても、通学班、掃除、係の仕事等随所で発揮されていきます。


かけがえのないあなたへ。

素敵なきらめきをありがとう。

出会ってくれてありがとう。

生まれてきてくれてありがとう。

どうか ありのままで。

どうか 幸せで。

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