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春のような温かさがいつもある学校に…君は、何ということをしてくれたのだ 〜心の宝物19

🌷校門のところで反転 えっ?帰った?なんで?


コロナ機の学校
 ある日の登校。自分の通学班を校門前まで引率したあと、6年生の彼はくるりと回れ右。元来た道を走って戻って行きました。ちょうど他の子と言葉を交わしていて気付くのが遅れ、呼び止めるタイミングを逃しました。自宅が学校からそれほど遠くないことは知っていたので、忘れ物でも取りに行ったのだろうと思い、そこにいて彼が戻るのを待つことにしました。

しばらくして、彼は戻ってきました。半べそをかいている1年生の手をひいています。
「自分が見たときは(この子が)ひとりで歩いていました。(その子が自分の)分団(通学班)と出会えたか気になったので」と、戻っていった理由を話してくれました。

🌷まいった 君は何ということをしてくれたのだ


 体の底から温かいものが込み上げてきました。全身がほっこりしました。
 検温カードの提出のために、教室入り口で並んで待つことに時間をとられるなど、児童にとっても忙しい朝です。気が急いて、その子がひとりでいることに気づかなかったり、特にいぶかしく思わなかったりして通り過ぎても全く不思議ではありません。気づいたそのことを、校門の校長に「途中1年生がひとりでいましたよ」と告げてくれたなら、それだけでも大手柄です。

それを。

 自分が力を尽くすことを決意し、走って引き返し、声をかけ、なぐさめ、安全に連れてきてくれた。
 まいったよ。君は、何ということをしてくれたのだ。

🌷その人やものごとに、温かな思いをつなぐことを、こういうよ


 いそがしい、さわがしい、時間がない、暑い、寒い…。周りの状況や、体や心の状態が自分にとってつらいとき、私たちの心は、誰かの悲しい気持ちを感じ取る力がよわくなります。踏み出す勇気が湧いてこず、そうした方がいいと分かっていても、できないことがあります。それは仕方のないことで、全然わるいことではありません。
 
 だからこそ、彼が選びとった行動の温かさが、どーんと心に伝わりました。
 1年生の子の不安や悲しみを感じ取った。
 気づいた自分を誤魔化すことなく、行動した。
 自分で来た道を引き返し、自分の忙しさよりも、その子の心に、命に寄り添うことを選びとった。
 彼の優しさと勇気を心から尊敬します。

 人やものごとを自分の目と心でとらえ、温かな思いをつなぐことを「愛」といいます。全校の皆さんも知っている言葉です。その言葉の意味と温かさを、あなたの姿から学校の全員が学ぶことができました。ありがとう。

 かけがえのないあなたへ。
 素敵なきらめきをありがとう。
 出会ってくれてありがとう。
 生まれてきてくれてありがとう。
 どうか ありのままで。
 どうか 幸せで。

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