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静岡県小山町に移住した加藤 一さんのLOCAL MATCH STORY~地域の中で自分らしく働くことを求めて~

 2023年、静岡県小山町では、富士山麓と箱根外輪山を結ぶトレッキングコース「富士箱根トレイル」や自然の中で運動して体を癒やす「クアオルト健康ウォーキング」のコーディネーターとして活動する地域おこし協力隊の募集・採用を行いました。そこで、トレイルの主担当として着任したのが埼玉県出身の加藤 一(かとう・ひとし)さん。

 ニュージーランドでロングトレイルのガイドを行った経験や、自然解説員として活動していた経験があるため「富士箱根トレイル」コーディネーターの即戦力として期待されています。アウトドアの経験以外にも、保育士やまちづくりの経験があり、幅広い視点で地域おこしを見据えている加藤さんに、お話を伺いました。

まちづくりに関するやりがいと地方での暮らしへの希望が長年あった

ー地域おこし協力隊への応募の経緯を教えていただけますか?

加藤さん(以下、加藤):元々、保育士として働いていたのですが、2019年に長野県でまちづくり関連の仕事をしたときに「この仕事が自分の着地点だ」と感じました。保育士と自然解説の両面を満足するものとして、私にはまちづくりがフィットしていると感じたんです。その時期にコロナ禍となったことや、保育現場がマンパワー不足となったことから保育の現場に戻りましたが、保育士として働いている間も「保育も自分のやりたい仕事、だけれど、人と環境を考える仕事もしたい。」両方とも深い繋がりを感じていたので、何かが欠けている気がしていました。また、これまで自分が望む生活スタイルに合う土地には仕事がないという現実もありましたが、協力隊として活動をする事で、何かのきっかけを探れるのではないかと思い、応募しました。

ーもともと、まちづくりや地方での暮らしに興味があったんですね。

加藤:はい。もともと都会より地方が好きなんです。新卒で就職を決める時も、都心ではなく郊外の東久留米市を希望しました。旅行、登山やスキーなどでいろいろな地方にお邪魔する度に街より郊外や地方に住めたらと感じていましたが、仕事があるのかどうか…がネックでした。今回移住することになった小山町も、親戚が小田原に住んでいて、そこから足をのばして小山町に行くことがあったんですが、その中でぼんやり「こんなところに住めないかな」と考えていました。

富士山を望む小山町の風景

ーそうだったんですね。その中で、ご自身に合ったお仕事をどのように探しましたか?

加藤:まずは自分の経歴とこれからやってみたいことや、生活して働いてみたいところを探り、ネットで情報収集を行いました。その中でも長年携わっていた保育の仕事を切り口に求人を探していました。たまたま、小山町の役場で地域おこし協力隊の求人を知り、LOCAL MATCHでの募集を見つけて応募してみたんです。

LOCAL MATCHに掲載された小山町の募集ページ

過去の経験を活かして、生きていく環境として魅力的な地域へ移住を決意

ー小山町への応募を決めたきっかけや決め手を教えてください。

加藤:小山町の地域おこし協力隊の求人内容が一番自分のやりたいこととマッチしていたんです。ニュージーランドでトレッキングガイドや氷河ガイド、ロングトレイルのガイドの経験を積んだり、長野県で森林メディカルトレーナーの資格を取った経験も活かせるのではないかと思いました。森林メディカルトレーナーはクアオルトの要素もありますからね。トレイルもクアオルトも両方やってみたいと感じたんです。「人と人をつなぐ」仕事は長年勤めていた保育士の仕事とも共通しますしね。

先ほども言ったように、小田原の親戚を訪ねがてら、周辺の町にも触れる機会もありました。また、埼玉県内の市民ハイキング引率で金時山などに来る機会もありました。仕事優先の都市生活よりも、街から距離はあっても不便もなく、生活する環境や場所として考えると、私には郊外や地方の方がしっくりしていました。

他の自治体の地域おこし協力隊にも応募していたのですが、どんどん小山町の地域おこし協力隊の仕事への興味が強くなっていきました。

ー他の地域とも比較しながら、応募する地域を決められたのですね。
ちなみに、おためし地域おこし協力隊ツアーには残念ながら時期が合わず参加できなかったとのことですが、オンライン面談のみで着任への不安はありませんでしたか?

加藤:社会経験を積むために、誰も知らない土地で力試しをしようと考えて市役所を退職し、海外の地元会社で目いっぱい働き、出来るだけ地元の皆さんと接触したいと思っていました。高校や大学などの学校、職場も、実際を何も知らない状況から始める点では全く同じだと思います。自分を知ってもらう前に、自分がその場所やコミュニティを知る事が勝負だと考えていましたし、馴染めなかった場合は、自分の力が不足していると考えています。自分の持ち時間、という意味では不安はありますが、応募する事への不安とは別でした。

ー現在は、どのような活動をされていますか?

加藤:主にトレイル担当です。町の人たちの想いを大切にし、現在の状況を把握しながら、トレイルをこれからどうしていくか関係団体への働きかけを行っています。同時に、巡視をしながら環境整備を行っていますね。1人で山の中に入ることが多いため、自分で意識していないと人との接点が生まれないことが課題です。山岳会に入会しており、猟友会や自然体験活動をしているNPOの方々と今後活動をしようと思っています。毎日しっかり仕事が入って、毎日があっという間です。

雪の残る小山町 巡視中の一コマ

トレイルの間口を広げ、アウトドアを気軽なものにしたい

ー充実した活動をされているんですね。今後、やってみたいことや取り組みたい課題はありますか?

加藤:もっと地域の方との接点を持ちたいと思っています。その中でも、トレイルへのハードルを下げ、間口を広げられたらいいですね。山のことをあまり知らなくても、「ちょっとやってみようかな」と気軽に歩きに来て楽しめるようなチャンスを作りたいです。日帰りコースや、遊びにつながる企画など、参加した方が「また来てみようかな」と思ってもらえる、そんな種まきをしていきたいです。地域ごとで特色もあるので、ターゲットを絞って、いろんな人たちにアクセスしてもらえるよう下地作りを進めています。


ー今後、地域おこし協力隊を志す人にメッセージはありますか?

加藤:移住者や地域おこし隊員が、その地域に入る事だけでも人間関係が変わるので、それだけでも地域おこしの1つになっていると思います。肩ひじ張らずに、自分らしく、地域と自分の折り合いをつけて生活する事が大切ではないでしょうか。

’’なる様になる。なる様にしかならない’’ ’’足踏みしてても、靴は減る’’ という言葉を過去に聞きましたが、私は肯定的な意味合いに受け止めています。
自分の意図した通りの結果にならないのは、いろいろな方々との関わりもあるからです。また、意図した事が必ずしも良い結果とは限りません。スタンバイ、アイドリング状態であっても、完全停止しているよりは直ぐに反応できるのではないでしょうか。

石橋を叩きすぎて渡れなくしてしまっていた自分ですが、渡ってさえいれば途中で壊れて流されたとしても、予想しなかった場所に移動できる可能性があって、その場所で違った事ができる可能性もありますよね。成功も失敗も経験であり、少ない経験値での脳内シミュレーションよりは、ずっと得られる物が多いかと思います。

ーご自身の経験ややりたいこと、課題に感じていることを突き詰める中で、地域に新しい価値を見出す活動を、これからも応援しています!今回は貴重なお話をありがとうございました。

(終わり) インタビュー時期:2023年12月

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\小山町役場地域おこし協力隊の辻さんの記事はこちら!/

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