「組織そのものがパーパスを持つ」を疑ってみた①
はじめに
日本で『Reinventing Organizations(組織の再考案)(邦訳:ティール組織)』が発売されてから、組織を生命体と観る視点(例えば、組織のパーパスを生命体である組織から現れたがっているパーパスと観る視点)が広がってきています。
『Reinventing Organizations(組織の再考案)(邦訳:ティール組織)』では、Evolutionary purpose(邦訳:存在目的)という特徴が紹介されており、Evolutionaryという単語が表すように、組織の目的を、進化するものと捉えています。
これは、言い換えれば、組織そのものがパーパスを持つという捉え方になります。
また、私が探究しているソースプリンシプルというものがあります。
これは、フレデリックラルーも自著の出版後に存在を知り、「もし知っていれば書籍に入れていた」と言うほど重要なテーマと捉えたものです。
このソースプリンシプルは言ってみれば物事を観るレンズの1つなのですが、提唱者のピーターカーニック曰くソースプリンシプルでは組織のパーパスは以下のように捉えているそうです。
上記だけを見ますと、経営者だけがソースであると思えがちでしょう。しかし、必ずしも経営者=ソースではないです。また、組織のメンバー達は、1人1人がその人にとってのソースを生きることができるという大前提があります。
何がその人に「組織にパーパスがある」と感じさせているのか?
「組織にパーパスがある」ということについて、そもそもソースプリンシプルのレンズで観ると「ない」となります。私も個人的にはそう感じるのですが、「以上終わり」と済ませるのではなく、今回は「ある」という世界について理解を深めてみたいと思いました。
そして、その理解を深めるための問いとして立てたのが「あると感じるとしたら(あると感じる認識・認知は)、何がそうさせているのか?」というものです。
その結果、浮かんだのは以下です。
「組織にパーパスはある」というコンセプトに惹かれている時点の自分よりも、もっと本来的・統合的な私が持っている「生成的なコミュニケーションがしたいという願い」が「組織にパーパスがあるという世界」をつくっているのかもしれない、という仮説です。
これはある種、出現する未来から観た視点と言えますが、過去から今現在への視点で同じ現象を取り上げるならば、過去に階層型ヒエラルキーでの抑圧から強い痛みを感じた経験があり、その痛みからの解放・癒しをもたらしてくれる対象として「組織のパーパス」が置かれていると言えます。
また、この解放・癒しを求めている自分は、自身の創造性・ある種のパワーを組織に投影してしまっている状態とも言えます。
ここまで着想した上で、ソースプリンシプルの実践者の方でこのテーマについて語っていたりするのか?と思い、調べてみました。
昨年、和訳本が出版され、日本語でアクセスできる唯一の関連本である『WORK WITH SOURCEーREALISE BIG IDEAS, ORGANISE FOR EMERGENCE AND WORK ARTFULLY WITH MONEY.(和訳名:すべては1人から始まる――ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』の著者であるTom Nixonの発言を見つけました。
ここで投影していると言われている、「自分自身のビジョンやパーパス」を、「それらを描く力」と付け加えるならば、私が着想したと思っている内容と同じに思えます。(おそらくTomはそのニュアンスで言われているのでしょう)
さいごに
この観点で書いてみて思ったことは、今回書いた「自分の創造性・創造力、それにまつわるパワー」が投影される対象は、「組織のパーパス」に限らず、色んなことが当てはまるということです。(お金も)
数年前に、「ティール組織に惹かれる個人に、まずオススメしたいこと」という記事を書きましたが、
何が個人にティール組織に惹かれさせているのか?と要因について考察した箇所を読むと、今回書いた仮説とほぼ同じことだったので、読み返して笑っちゃいました。
なお、今回の考察をしていく中で、ソースのレンズという前提に立った上で「組織のパーパス」と誤認している他の対象についての仮説も生まれました。
長くなりましたので、別の記事としてアップしようと思います。
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おまけ
今回は、組織にパーパスがないということについて深めていますが、「組織にパーパスがある」とすることにまつわるメリット、言い換えれば、組織において主語が大きくなることのメリットというテーマも探究したいと思っている1つです。この記事を通して、組織にパーパスってないよね!と主張したいのではなく、前提から考え直してみるきっかけの提供ができればと思っています。
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