見出し画像

フラット・参加型かつ、創造的な組織が大事にしているCreative authorityとは?


はじめに

以前「ティール組織はフラットな組織なのか?」という記事を書いたのですが、

結論は、フラットな「だけ」の組織ではない、でした。

言い換えると「部下を支配する上司、という上下関係(階層)がフラット」であることと「物事を実現するための能力などの高低差、といった対象によって流動的な上下関係(階層)はタワーorピラミッド」であること、という2つが共存している組織、と言えます。

では「物事を実現するための個々人の能力の高低差」さえ許容・活用していればいいのか?というと、創造性の最大化・持続可能性という観点からいうとそうではないでしょう。

もう1つ重要な「階層」があり、この階層を活かすことなしには創造的で持続可能な組織は実現しえないと言っても過言ではありません。

それが「Creative authority (創造的な権威)に基づく階層」です。

この階層のことを書籍「すべては1人から始まる――ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力」ではクリエイティブ・ヒエラルキーと呼んでいますが、今回の記事では「Creative authority (創造的な権威)」に焦点を当てます。

Creative authority (創造的な権威)とは何か?

上記の書籍の原著者であるトム・ニクソンはCreative authority (創造的な権威)についてこのように紹介しています。
(文中に出てくるチャーリー・デイビスとは、トムにソース原理の提唱者であるピーター・カーニックを紹介した人物)

ビジョンとは組織ではなく個人に紐づくものであるという前提に立つと、ソースが持つビジョンを実現するために何が必要かは、本質的にはソースしか知りえないことになる。周りの人たちは提案したり、推測したり、自分たちの願いを語ったりすることはできても、ビジョンの所有者は自然とソース1人になる。

チャールズ・デイビスは、これを<創造的権威>(クリエイティブ・オーソリティ)と呼んでいる。

英語での「author」のもともとの意味である「つくった人・創始者」が
持つ権威
、ということだ。

p131より引用

Creative authority (創造的な権威)の質感を掴む

この言葉の質感を理解するために、このテーマについて書かれたチャールズのブログ記事が役立ちそうなので、引用します。

以下は、チャールズの記事をGoogle翻訳にかけたものです。

最終的には、作られているものが本であれ、会社であれ、彫刻であれ、その他何であれ、まったく問題ではありません。作られたすべてのものにはAuthorがいます。

私はAuthorという言葉が好きです。 これは権威の本当の意味を思い出させるのにとても役立ちます。 真の権威はAuthorにあるからです。 真の権威はAuthorshipと同じです。

(ハリーポッターを書いた)JKローリングは著者であるため、ハリーが生きるか死ぬかを決定する権限を持っています(私はまだ読み終えていませんが、私には言わないでください)。 物語は彼女の創作です。 それは彼女の心、彼女の経験、彼女自身から来ました。

そして、JKローリングがハリーを書いているのか、私がこれを書いているのかにかかわらず、Authorは彼らだけが感じることができるニーズを満たすために書いています。

私がこれらの言葉を書き留めているとき、その言葉はどこから来たのでしょうか?どのトレイルをたどるべきかどうすればわかりますか?完了したことをどうやって知ることができますか?私が知ることができる唯一の方法は、内部で聞くことです。

最終的には、JKローリングにとって、自分の小さな魔法使いを殺すべきかどうかを見極めるのがどれほど難しかったとしても、実際に知ることができるのは彼女だけであるため、彼女にとっては他の誰よりも簡単でした。 残りの私たちも意見を持つことができます。 残りの私たちは視点を提供し、洞察をもたらすことができます。 しかし、最終的にはAuthor以外誰も知りません。

他の人のビジョンをよりもよく知っていると思いたくなるかもしれません。 そして、外側から見ることができることからもたらされる、ある種の明晰さがあります。

そして、Authorが完全に霧がかかっていて、気をとられ、気が散っているとき、部外者の方が一時的にAuthor自身よりもAuthorのビジョンについてより洞察力のある見方をすることができるかもしれません。

しかし、最終的には、あなたの洞察が正確であるかどうかをAuthorが確認する必要があります。 本当のところはAuthorにしか分からないからです。

(夕食に何を食べたいかを選ぶのも同じです。私は夕食に何を食べたいのかまったくわからないかもしれません。そして、メニューの提案を考えるのは私よりもあなたの方がはるかに上手かもしれません。しかし、結局のところ、それは私のお腹であり、私の食欲であり、それは私だけが知っています。あなたはあなたが何を作っているか私に言うことができますが、あなたは私が何を食べたいかを私に言うことはできません。)

たとえば多国籍企業の作品全体のAuthorよりも本のAuthorを指摘するほうが簡単ですが、この原則は今でも変わりません。

Apple で行われている仕事を見れば、それが (ほぼ) 一貫した全体であることは明らかです。 庭の小道を敷いたり、アルバムを書いたり、宇宙ロケットを設計したりするのと本質的には何ら変わらない創造的な取り組みが進行中です。 本よりも感動的な部分が多いかもしれませんが、それでも最終的には創造的な作品であり、Authorが存在します。

また、個々の設計者が個々のパーツの「Author」である可能性もありますが、より大きなプロジェクトに貢献していることは明らかです。 彼らの仕事は孤立したものではなく、むしろより大きなプロジェクトのビジョンを明らかにする試みです。 そして、その大きなプロジェクトにはAuthorがいます。

Authorの領域は書店の玄関先を超えていることがわかります。 私たちは、作られたものには必ずAuthorがいることを知っています。 会社、ツェッペリン飛行船、教会、鉛筆、オペラ、ライター、言語理論、すべて。 それらはすべてどこかから始まります。 そしてそれらはすべて人から始まります。 そしてその人がAuthorの権限を持っています。

作られたものには必ずAuthorがいることを忘れないでください。

さいごに

対話やボトムアップを重視する組織において、ティール組織の日本における第一人者である嘉村賢州さんのいう”グリーンの罠”に陥っているケースは起こりやすいと言います。私も経験があります。

グリーンの罠

・行動の後押しを求める(意思決定が遅くなる)

「グリーン組織では、関係性が良好なゆえに、多様な意見を尊重しすぎたり、合意形成を最優先したりして物事がなかなか決まらない傾向があります。同時に、担当者が何かを決めたい場合でも、多様な意見を気にしすぎて行動に移しづらく、上司や会議の決定という後押しを求めてしまうのです」

・問題解決が難航する
「グリーン組織では、組織の課題を現場から抽出して解決しようとする傾向がよく見られます。その際、合宿や全社会議で課題を解決しようとします。ところが、ひとつの課題ごとに多様な価値観が出てきて収拾がつかなくなります。結局、何も決まらないか、さまざまなメンバーのニーズがつぎはぎされた洗練されてない解決策におわってしまうことも多々あります」

・熱量の低い様々なプロジェクトにあふれる
「つぎはぎだらけの解決策でも、全員の総意であることは間違いありません。とはいえ、その解決策を積極的に推進しようという熱意を持った人が現れるのでしょうか。まず、出てこないでしょう。その結果、タスクの押し付けや、永遠にとりかかることのない変革アイデアがリストアップされたまま放置されている場面が多々あります」

「自主経営組織のはじめ方 ― 現場で決めるチームをつくる」p 225より抜粋

それはひとえに、今回の記事で紹介したCreative authority (創造的な権威)も排除してしまったから起きていると言えます。

もし、上記の課題を感じている方がいたら、ぜひソース原理について学んでみることをオススメします。


関連記事はこちらから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?