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個人の能力開発以外に、創造性を発揮する社員を増やすための3つの視点とは?

はじめに

今回はあえて創造性の発揮というテーマに絞っていますが
発揮について、どのテーマにおいても同じ考え方ができると思ってご覧ください。

「部下の創造性を高めたい。」

なぜそうしたいのでしょうか。
 
その理由は、部下のその能力が低いと
思っているからですよね。
 
では、なぜ能力が低いと思うかというと
「その部下がスキル不足だから」となりやすいように思います。
 
その理由であれば
インプットをしたり、トレーニングをすることで
向上することはできるでしょう。
 
いわば、能力開発というものですね。
 
しかし、
それでも思ったような変化がみられないとしたら
それは、部下個人の問題ではない可能性があります。
 
それは、
そう思った上司を含む部下を取り巻く環境に問題があるから
かもしれません。

能力を発揮させない環境があるという視点

この環境について考える際に、ケン・ウィルバーという思想家が
インテグラル理論において紹介している4つの象限モデルを参考にしてみたいと思います。

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これは、物事を捉えるときにこの4つの視点から観て捉えよう、というものです。
 
私がこのモデルを知ったのは書籍「ティール組織」で
組織を対象にこのモデルを当てはめた図が紹介されていたことでした。
 
そこで紹介されていた図がこちらです。(この図は私が作成) 

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私はこちらを「能力の発揮」に対して
影響を及ぼしている4つの要素として捉え直し、加筆修正してみました。

(1)当事者の信念と心の持ち方(これはそのまま引用)
(2)身近な権力者との関係性(例えば上司)
(3)仕事のやり方・姿勢(両利きの経営の定義を参照)
(4)仕組み、体制

ここでいう環境は(2)〜(4)のことであり
これらが(1)に影響を与えています。
 
1つずつみていきます。
 
(1)当事者の信念と心の持ち方
当人にメンタルブロックがあったり、自己効力感が低い場合は
それらが能力の発揮を妨げることになります。
 
(2)身近な権力者との関係性
身近な権力者とは、例えば上司のことです。
その上司がもし、自分の言う通りにすることを一方的に望み、
かつ高圧的にコミュニケーションしていくタイプかつ、
当人がそれを跳ね返せるタイプでなければ、能力の発揮を妨げることになります。
 
(3)仕事のやり方・姿勢
(4)仕組み、体制

 
この2つを分かりやすくするために
少し歴史を振り返ります。
 
戦後、高度経済成長期を通じて洗練されてきた組織のモデルは
同一規格の製品をいかに効率よく
大量に生産するかに最適化されてきた
工場モデルでした。
 
このモデルでは
上記の成果を生み出し続けるために
仕事のやり方と組織の体制が最適化されていきます。
 
仕事のやり方は、例えばPDCAサイクルですね。
組織の体制とは、例えば制度であり、分かりやすいのは評価制度です。
 
もし、所属する部署がPDCAサイクルを回すことだけを重視している
仕事のやり方・姿勢であれば、「改善する」以外の創造性を発揮することは難しいでしょう。
 
また、このような会社組織では、正確性と効率性が評価の対象となります。
極端に言えばこの2つしか評価される要素がないとしたら、
「改善する」以外の創造性を発揮しないように力学が働いていると言えます。
 
このように、
部下の能力の発揮を妨げる要因は
本人の課題だけではなく、

・上司との関係性
・そのチーム、部門等での仕事のやり方・姿勢
・会社の制度

といった環境面もあるのです。

会社の環境の雛形となっているもの

そして、
この環境面の雛形となっているのは
経営者自身の(1)〜(4)であり、経営者と幹部の関係性です。
 
もしこの関係性において
経営者が幹部に対して効率性ばかりを
求めているとしたら
 
現場に近いマネジャーが
その圧力を意に返さず
メンバーの創造性が育つ関わりをするタイプではなかったら
 
その社員は、
遅かれ早かれ効率性に最適化された
動きしかしなくなるでしょう。
 
そして、
それでも能力の発揮を諦めない人は
まずは社外のコミュニティに属することで
欲求を満たそうとするでしょう。
 
さらに
活躍の場を見つけることができたら
飛び出していくでしょう。
 
そして、残るのは
能力の発揮を諦めて、会社の環境の雛形に
最適化された人たちだけとなります。
 
そうなると、
創造性の高い組織にしたいという意図とは
真逆の組織になってしまいますね。
 
このような会社組織に働いている力学を考慮せずに
他人を変えようとすることだけで対処しようとするパターンは
多いのではないでしょうか。

具体的な取り組みの入り口

では、
どうすればいいのか。
 
結論から言えば
経営者自身が以下の4つでいうところの

(1)信念と心の持ち方
(2)身近な権力者との関係性
→正確にいえば、権力だと感じている対象との関係性。例えば、株主、市場、政治、両親、長年お世話になっている目上の人など。
(3)仕事のやり方・姿勢
(4)仕組み、体制

(1)をバージョンアップ/アップグレードする必要があります。
 
また、(1)のバージョンアップとは言い換えれば
 
自己認識の範囲と質が変わり、
それに伴い価値観が変わり、
何をビジョンとするかや、思考が変わる
ということです。
 
そして、その結果として
(2)(3)(4)が変わるのです。
 
これは成人発達理論で言うところ、
発達段階が変わるといっていいでしょう。
 
参考記事はこちら。

そして、このバージョンアップする必要があると気づいてからの
プロセスにはいくつかのパターンがありますが、今日は触れません。
 
今日のところは、現象に対してこういうメカニズムが働いている
という原理的な話の共有にとどめたいと思います。
 
何か参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
 



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