はじめに
最近、ティール組織にまつわる噂・誤解について和訳本を中心に検証する記事を書いています。
この記事もシリーズの一環として、今回は「ティール組織は自由なので無秩序になる、というのは本当か?」というテーマでお届けします。
これまた、和訳本に実際に書かれていることを参照し、答えに迫りたいと思います。
和訳本から自由と責任について書かれている箇所を抜き出してみた
自主経営というテーマについて書かれている箇所の中で自由、責任について書かれている箇所を抜き出してみました。
抜き出した箇所を見てみると自由について語られる際には、それ単体ではなく責任とセットで語られているように思えます。
一方で、タイトルにもあるように責任が伴わない自由が広がると企業は一体どうなるのでしょうか。
実際にプロセスの中で自由だけに焦点を当てて組織づくりを進めていった結果どうなったか、という日本企業の事例がありますので紹介していきます。
「自由」に焦点を当てた組織づくりを試し、状況が悪化した日本企業の事例
「ティール組織」が出版される前から革新的な経営を実践されていた先駆者がその軌跡及び貴重な教訓を残してくれていますので数社紹介します。
ダイヤモンドメディア(現UPDATA)
(現在は社名が変わり、経営スタイルも変わっています。)
2010年頃に、社員に好きな働き方をすればいいと言って収拾がつかなくなった時期があったそうです。当時の代表だった武井浩三さんの発言を引用します。
その結果、管理会計を徹底的に整備したり、アメーバ経営を取り入れたりしたそうです。
リレーションズ
2016年から自律分散型の組織への変革をスタートされました。
この変革及びメッセージの結果どうなったのか?
他にも、
といった出来事も起こっていた模様です。この悪化の要因分析の結果、以下のコメントも残されています。
さいごに
ここで再び、テーマに戻ってきたいと思います。
問い「ティール組織は自由なだけの組織なのか?無秩序になるのか?」
↓
答え「自由なだけの組織ではない。自由には責任が伴う。自由だけに焦点を当てて進めていくと無秩序になる」
ということですね。言い換えれば、事例で紹介した方々が言われているように何らかのルール・システムが必要ということであり、こちらについては書籍の中でも書かれています。
また、同じく書籍の中では『自主経営の成功は、専門家の言うの「心理的オーナーシップ」を従業員が持てるかどうかにかかっている』(p449)とも書かれています。
こちらは言い換えれば、従業員が心理的オーナーシップを持てる・育まれるシステムを築くことの重要性について語っているといえます。書籍の中でもp449から合計4ページに渡って書かれていますので持っている人はぜひ読んでみてくださいね。
また、このあたりに関連して、原著の出版年から4年後の2018年に公開された動画シリーズの中で、「自己修正システム」という表現として洗練された内容を学ぶことができますので、気になる方は日本語訳がついていますのでぜひ動画も観てみてください。
今回は以上となります。
追伸その1
「ティール組織」の日本での第一人者といえる嘉村賢州さんより直接概要について学ぶことができるセミナーです。不定期開催なのですが、ちょうど今のタイミングは募集しているそうなので、気になった方はぜひこちらのサイトをご覧ください。
追伸その2
今回の記事に関連したオススメ記事を紹介します。
事例で紹介したリレーションズの軌跡について書いた記事。