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人生観はアップデートできる

私たちは、自分の人生体験に基づいて思考し、発言します。
人生体験は、教育や人生の先達、一緒に過ごした友や家族、働いた環境、読んだ本、情報、メディアなどからのさまざまな影響とともに、本人の資質や形質によっても形成されているわけです。
長く生きるほど、人生観や信念は強固なものになり、反対に自分の行動や発言を縛るようになります。
そしてひとたびその信念が棄損されたと感じると、自己防衛的に強く反発することが少なくありません。
 
本来人生観や信念は個人のものであり、ひとりひとり異なるはずですが、私たちが生きてきた時代やその空気感(ムード)を色濃く反映するのは当然のことです。
 
さて、新しく生まれる規範に対して、私たちはどう向き合うべきか。
私は、外国人という多様性に対する日本人と日本社会の向き合い方をきっかけに、インクルシティ(インクルージョン:包摂とダイバーシティ:多様性を融合させた造語)を掲げて活動しています。
「女性は」とか「男性は」といった、属性に対する無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)は、中でも中心的なテーマで、その解消に取り組んでいます。対象を「外国人は」や「障がい者は」、「性的マイノリティは」と置き換えても同じです。
私たちの心の中には、対象へのステレオタイプが存在します。
それが差別に結びつかないようにする(マイナスをゼロにする)ことと、無意識の偏見により心理的安全性が阻害されず、ひとりひとりが安心して生きることのできる社会を実現する(プラスを積み上げる)ことが、現代的規範になりつつあります。
 
この時、以前に作られた人生観や信念、たとえば「女性とは家庭を守るもの」「子どもを産み育てることが女性の役割」「稼いで家族を養うことが男性の責任」「男性はわきまえが肝心」などにささくれが生じるようです。
「世の中(の規範)は変わった」と言われると、失望して自分がお払い箱と思ったり、新しい規範を強烈に否定することがあります。完成した自分の人生観や信念の問題ゆえに、自己否定されたと感じるからです。
 
しかし、もう一つの道を選ぶことも可能です。
新しい規範の「存在」を受け入れ、尊重することです。新しい規範に納得し、共感する以前に、それが「存在」している理由や背景を自分の人生観や信念を創り出してきたプロセスに加えるべきなのです。
人生観や信念は進化しうる。今風に言えば、アップデート可能です。
私より年上の方々の中には、サミュエル・ウルマンの「青春」が大好きな方は多数おられたと記憶しています。
でも自分に信念があると信じる人ほど、新しく生まれたその信念と衝突する考え方からは目を背けがちです。
17世紀のオランダに生まれたユダヤ人の哲学者スピノザは、私たち個人が自分の「意思」であると信じているものに対し、「自由な意思」は存在しないと考えました。自分の意思や信念は、どれほど強固にそれが確立されたものであると本人が考えていても、行動や発言の前に起こったさまざまなできごとの影響を受けていると説きます。
 
世の中の規範が変わった時、過去に自分が作り上げてきた人生観や信念と齟齬のあるものだとしても、ひとまず尊重する姿勢で向き合う。新しい規範に共感はできなくても、尊重するだけでまずは良い。私はそう考えます。
尊重の気持ちを持てれば、意見を述べる際に、あえて言う必要のないことは言わないといった対応は可能になります。
近代社会を作り上げた先達は、思想の自由を勝ち取ってくれました。
だからこそ、例えば日本国憲法の中で、公共の福祉に反しない限り尊重されると謳われています。考え方は多様であって然るべきで、それは守られるべき権利です。
尊重していれば、反論しても構わないと考えます。よく考えずに、無意識のまま過去の考えを表出させないことが大切です。また、新しい規範を旗印に掲げる者も、魔女狩りや○○警察のようになってはなりません。
 
日本人は空気を読むと言われます。
世界の空気を的確に読みつつ、思想の自由を守りながら、自由に意見を言い合える社会をつくりたいものです。
自由に意見を言い合うためには条件やルールが必要ですが、この部分にもたくさんの問題を感じますが、それはまた別の機会に。
 
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